福岡赤十字病院総合診療科の澤山泰典氏

 スタチンエゼチミブの併用によりLDLコレステロール(LDL-C)の良好な管理が可能であることが確認されているが、動脈硬化の進展に及ぼす影響は明らかではない。福岡赤十字病院総合診療科の澤山泰典氏らは、低用量のスタチンとエゼチミブの併用による治療で頸動脈内膜中膜複合体肥厚IMT)が退縮することを明らかにし、札幌市内で7月15日から16日まで開催された日本動脈硬化学会(JAS2011)において報告した。

 Bモード超音波法で測定した頸動脈IMTは動脈硬化進展のサロゲートマーカーとされており、スタチンを用いた積極的LDL-C低下療法によりIMTは退縮するという報告がいくつかなされている。そこで澤山氏らは、低用量スタチンとエゼチミブの併用療法における頸動脈IMTへの影響について通常用量スタチンによる治療と比較検討した。

 対象は、低用量(5mg/日)のプラバスタチンを投与しても、LDL-C値が120mg/dL以上の高コレステロール血症患者48人。これらの患者を、エゼチミブ10mg/日を追加投与する群(エゼチミブ併用群、27人)、あるいはプラバスタチンを通常用量(10mg/日)に増量する群(通常用量スタチン群、21人)に無作為に割り付け、2年以上(平均2.3年)追跡した結果を解析した。

 平均年齢、性別、BMIなど、両群間の患者背景に有意差はなかった。半数以上の患者で喫煙習慣があり、8割前後が高血圧を、2〜3割が糖尿病を合併し、ほぼ全例が動脈硬化性疾患のハイリスク患者であった。

 通常用量スタチン群の総コレステロール(TC)値は、221mg/dLから202mg/dLに、LDL-C値は127mg/dLから113mg/dLに、動脈硬化性リポ蛋白を反映するnon HDLコレステロール(non HDL-C)値は164mg/dLから140mg/dLに、それぞれ有意に低下した(それぞれ、p=0.0050、p=0.0080、 p=0.0003)。

 エゼチミブ併用群では、TC値は236mg/dLから201mg/dLに、LDL-C値は145mg/dLから114mg/dLに、non HDL-C値は176mg/dLから139mg/dLに、それぞれ有意に低下した(いずれも、p<0.0001)。これらの血清脂質値の低下度は、通常用量スタチン群に比べて良好だった。

 なお、トリグリセリド値、HDLコレステロール値、空腹時血糖値、HbA1c値、インスリン抵抗性指標のHOMA-IR、炎症マーカーのhsCRP値には両群ともに有意な変化は認められなかった。

 頸動脈IMTは登録時に比べて両群で退縮したが、エゼチミブ併用群でのみ有意であった(p<0.01)。また、登録時からの頸動脈IMT変化量(IMT)はエゼチミブ併用群で通常用量スタチン群よりも有意に大きかった(p=0.0142)。

 さらに、通常用量スタチン群では、登録時の頸動脈IMTとIMTに有意な相関は認められなかったが、エゼチミブ併用群では登録時のIMTが高い患者ほどIMTは大きかった(p=0.0002)。

 これらの結果から澤山氏は、ハイリスクの高コレステロール血症患者では、通常用量のスタチンによる治療よりも、低用量のスタチンとエゼチミブを併用した方が、頸動脈肥厚を改善し、動脈硬化の進展を抑制できると結論した。


(日経メディカル別冊編集)