帝京大学内科学講座の寺本民生氏

 スタチンによる治療で効果不十分な高コレステロール血症患者において、スタチンの増量、もしくは他のスタチンに切り替えるより、エゼチミブを併用する方がLDLコレステロール(LDL-C)低下効果に優れることが、日本人を対象とした研究でも確認された。帝京大学内科学講座の寺本民生氏らによる多施設共同研究の成果によるもので、札幌市内で7月15日から16日まで開催された日本動脈硬化学会JAS2011)において寺本氏が報告した。

 スタチンの初回投与量による治療で、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007」のLDL-C管理目標値を達成できなかった場合、次の選択肢としてスタチンの増量とエゼチミブ併用のどちらが優れているのかについて、これまで質の高い日本人のエビデンスは存在しなかった。寺本氏らはこの課題を解決するために、多施設共同によるオープンラベル無作為、3群間比較試験を実施した。

 対象は、LDL-C値が120mg/dL以下を達成していない高コレステロール血症患者125人で、4週間のwash-out期間の後、アトルバスタチン10mg/日を4週間投与し、その後、エゼチミブ10mg/日を併用(47人)、アトルバスタチンを20mg/日に増量(46人)、ロスバスタチン2.5mg/日に切り替え(32人)の3群に無作為に割り付け、12週間の追跡を行った。

 登録時の性別、年齢、BMI、血清脂質値、糖尿病合併率、リスクカテゴリー分類(LDL-C管理目標値)、喫煙状況など、いずれも3群間に有意差は認められなかった。

 その結果、無作為割付時から試験終了時のLDL-C値の変化は、エゼチミブ併用群では145.3mg/dLから107.2mg/dLに、アトルバスタチン増量群では146.8mg/dLから124.3mg/dLに低下したが、ロスバスタチン切り替え群では144.6mg/dLから145.2mg/dLとほとんど変化しなかった。

 LDL-C値の変化率は、エセチミブ併用群で−25.8%、アトルバスタチン増量群で−15.1%、ロスバスタチン切り替え群は+0.8%で、エゼチミブ併用群では他の2群に比べて低下率が有意に大きかった(いずれも、p<0.0001)。また同様に、LDL-C管理目標値達成率は、エゼチミブ併用群78.7%、アトルバスタチン増量群41.3%、ロスバスタチン切り替え群3.1%と、エゼチミブ併用群の達成率は他の2群に比べて有意に高かった(対各群、p=0.0006、p<0.0001)。

 また、動脈硬化性リポ蛋白を反映するnon-HDLコレステロール値の変化率は、エセチミブ併用群−24.9%、アトルバスタチン増量群−13.7%、ロスバスタチン切り替え群+1.9%で、エゼチミブ併用群では他の2群に比べて低下率が有意に大きかった(いずれも、p<0.0001)。

 薬剤関連の有害事象および臨床検査値異常は、エゼチミブ併用群4人(8.5%)、アトルバスタチン増量群5人(10.9%)、ロスバスタチン切り替え群2人(6.3%)で認められたが、発現率に群間差はなく、いずれも軽度から中等度で、重篤な副作用はなかった。

 これらの結果から寺本氏は、アトルバスタチン10mgの治療で効果不十分な高コレステロール血症患者に対してエゼチミブ10mgを併用するレジメンは、アトルバスタチン20mgへの増量、ロスバスタチン2.5mgへの切り替えに比べてLDL-C低下効果が有意に優れており、忍容性も良好だったと結論した。


(日経メディカル別冊編集)