金沢大学大学院臓器機能制御学の川尻剛照氏

 スタチンは血中のコエンザイムQ10CoQ10)濃度を低下させ、それが筋肉痛や肝機能異常の原因になる可能性が指摘されている。金沢大学大学院臓器機能制御学の川尻剛照氏らは、スタチン投与を受けている高コレステロール血症患者にCoQ10を投与すると、脂質パラメータに影響を与えることなく血漿CoQ10濃度を高められることを、7月15日から札幌市で開催されていた日本動脈硬化学会JAS2011)で報告した。

 対象はスタチンの種類を問わず、12週間を超えてスタチン療法を行っている原発性高コレステロール血症患者26人(20〜74歳)。服用中のスタチンおよび他の併用薬をそのまま継続した状態下で、サプリメントとしてCoQ10を25mg(9人)、50mg(8人)、100mg(9人)投与する群に無作為に割り付け、二重盲検下で12週間投与した。ユビキノール10濃度、ユビキノン10濃度、総CoQ10濃度は高速液体クロマトグラフィ法で測定した。

 各群の患者背景については、年齢が25mg群は56.0歳、50mg群は63.1歳、100mg群は64.0歳、BMIは順に23.0kg/m2、22.1kg/m2、23.4kg/m2、総コレステロール(TC)値は192.3 mg/dL、192.9 mg/dL、189.0mg/dL、LDLコレステロール(LDL-C)値は105.3 mg/dL、116.5 mg/dL、109.7mg/dL、HDLコレステロール(HDL-C)値は67.3 mg/dL、59.0 mg/dL、62.9mg/dL、中性脂肪(TG)値は98.3 mg/dL、86.9 mg/dL、82.0mg/dL、HbA1c値は5.7%、5.6%、5.6%と、いずれも3群間に有意差は認められなかった。スタチンとしては、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンが投与されていた。

 CoQ10の投与によって血漿中の総CoQ10濃度は、25mg群ではベースラインの840nmol/Lから12週後は1981nmol/L(148%増)に、50mg群では826nmol/Lから2492nmol/L(202%増)に、100mg群では840nmol/Lから3170nmol/L(277%増)にそれぞれ有意に増加し(いずれもp<0.05)、用量依存性がみられた。同様に、血漿中のユビキノール10濃度、ユビキノン10濃度はいずれも12週後は有意に増えており、用量依存性も認められた。

 一方、CoQ10の投与終了から4週後(16週後)に血漿中の総CoQ10濃度、ユビキノール10濃度、ユビキノン10濃度を測定したところ、いずれも試験開始時と同レベルに低下していた。

 脂質・非脂質パラメータをみると、投与量が最も少なかった25mg群におけるHDL-C値のみ有意に低下したものの、いずれの用量群においても、TC値、LDL-C値、HDL-C値、TG値、肝酵素値(AST、ALTなど)、筋酵素値(CK)、腎機能に有意な変動は認められなかった。また、CoQ10投与中の自覚症状に明らかな変化は認められず、忍容性はどの用量群においても良好であった。

 以上から、CoQ10をサプリメントとして投与することで、脂質値に影響を与えることなく血漿CoQ10濃度を安全かつ用量依存性に増加させられることが分かった。川尻氏は、スタチンの副作用を軽減する至適用量を検討するためには、さらに研究を進める必要があるとの考えを示した。

(日経メディカル別冊編集)