岡山大学循環器内科の三好亨氏

 心房細動心血管死と関連するが、心房細動のリスク因子については十分に解明されていない。今回、岡山大学循環器内科の三好亨氏らは、動脈硬化度の増大は発作性心房細動PAF)のリスク因子である可能性を、7月15日から札幌市で開催されていた日本動脈硬化学会JAS2011)で報告した。

 本検討では、同大学病院に通院する慢性心房細動に至っていないPAF患者91人と、年齢および性別をマッチさせた非PAF患者90人を対象とした。透析を必要とする腎疾患、心筋症、左室駆出率低下(50%未満)、心不全(NYHAクラス分類がII以上)の症例は除外した。洞調律時に検査を行い、動脈硬化度の指標としてCAVI(Cardio-Ankle Vascular Index)を、反射波の指標としてrAI(radial Augmentation Index)をそれぞれ用いて評価した。

 対象の年齢は約70歳、男性が約6割を占め、BMIは24kg/m2弱で、PAF群と非PAF群で高血圧(53% vs. 63%)と糖尿病(17% vs. 17%)の合併率に差はなかったが、脂質異常症(29% vs. 49%)の合併率は非PAF群で有意に高かった(p=0.006)。

 また、PAF群では非PAF群に比べてβ遮断薬(21% vs. 6%)、ジギタリス製剤(16% vs. 0%)、抗不整脈薬(55% vs. 1%)の服用率が有意に高かったが(順にp=0.001、p<0.001、p<0.001)、ACE阻害薬・アンジオテンシンII受容体拮抗薬(33% vs. 39%)、Ca拮抗薬(38% vs. 30%)、スタチン(20% vs. 22%)の服用率には有意な差はなかった。

 血行動態および心エコー所見として、PAF群と非PAF群の中心血圧(137mmHg vs. 135mmHg)、拡張期血圧(73mmHg vs. 73mmHg)、平均血圧(94mmHg vs. 94mmHg)、脈圧(62mmHg vs. 63mmHg)、左室心筋重量係数(99.8g/m2 vs. 91.4g/m2)、左室駆出率(71.1% vs. 70.5%)に差はなかったが、心拍数(64bpm vs. 70bpm)はPAF群で有意に低かった。一方、左房径(39mm vs. 35 mm)はPAF群で有意に大きかった(いずれもp<0.001)。

 CAVIについては、PAF群9.0±1.0、非PAF群8.6±0.7、rAIについてはそれぞれ89±12%、81±10%と、いずれもPAF群で有意に高かった(いずれもp<0.01)。

 CAVIと強く有意に相関したパラメータは年齢で、収縮期血圧や脈圧とはそれより弱く相関し、HDLコレステロール値とは逆相関していた。また、CAVIとの相関関係をみると、左房径(r=0.20、p<0.01)、左室心筋重量係数(r=0.30、p<0.01)、rAI(r=0.32、p<0.01)には有意な正の相関が認められた。

 年齢、性別、心拍数、降圧薬の服用、抗不整脈薬の服用で補正したPAF発症のオッズ比は、CAVIが1増加するごとに1.83倍に、左心房径が5mm増大するごとに1.84倍になることが明らかになった。

 このようにCAVIで評価した動脈硬化度はPAFと有意に関連したことから、三好氏は動脈硬化度や反射波の増大は心房細動の発症に関与している可能性があると語った。

(日経メディカル別冊編集)