三重大学大学院循環器・腎臓内科学の澤井俊樹氏

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に、薬剤溶出ステント(DES)が広く用いられるようになってきた。糖尿病合併例のPCIにおいて、第1世代DESは再狭窄率をベアメタルステントより低下させたが、第2世代DESの有効性および安全性に関してはまだ十分に評価されていない。そこで、三重大学大学院循環器・腎臓内科学の澤井俊樹氏らは、第2世代DESを用いた症例を検討し、糖尿病合併の有無によらず有効性や安全性はほぼ同等であることを、7月15日から開催されている日本動脈硬化学会(JAS2011)で発表した。

 今回の検討対象は、第2世代DESであるゾタロリムス溶出ステント(ZES)を留置した79例(83病変)およびエベロリムス溶出ステント(EES)を留置した109例(131病変)。糖尿病の合併に関しては、食事療法、経口血糖降下薬、インスリン療法の有無から、未診断例においては75g経口糖負荷試験(OGTT)を行って判定した。なお、全例に対しアスピリン100mgとクロピドグレル75mgを少なくとも6カ月間投与した。

 評価項目は、ステント再狭窄、標的病変血行再建術(TLR)、late lumen loss(LLL)、複合脳心血管イベント(TLR、心臓死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、冠動脈バイパス術[CABG]施行、ステント血栓症)。

 ZESが留置された79例のうち、糖尿病群は30例、非糖尿病群は49例で、糖尿病群ではPCI既往が有意に多かった。しかし、高血圧や脂質異常症などの合併率、急性冠症候群の割合、ステント留置血管、標的病変のタイプなどに違いは認められなかった。

 平均7カ月(215±49日)後に評価したところ、再狭窄が認められたのは糖尿病群12.9%、非糖尿病群13.5%、TLR率はそれぞれ12.9%、9.6%、LLLはそれぞれ0.63mm、0.65mmと、いずれも群間に有意差はなく、複合脳心血管イベント発症にも差がなかった。

 一方、EESを留置した109例のうち、糖尿病群は51例、非糖尿病群は58例で、糖尿病群では喫煙率と急性冠症候群の割合が有意に高かった。しかし、高血圧や脂質異常症など合併率、ステント留置血管、標的病変のタイプなどには有意な差が認められなかった。

 同様に平均7カ月後に評価したところ、再狭窄が認められたのは糖尿病群6.8%、非糖尿病群5.6%、TLR率はそれぞれ6.8%、5.6%、LLLはそれぞれ0.19mm、0.09mmと、いずれも群間差はなかった。複合脳心血管イベントも有意差はみられなかった。さらに、ZES、EESのいずれの患者においても、ステント血栓症は認められなかった。

 以上の検討から澤井氏は、第二世代DESであるZESとEESは、糖尿病を合併した日本人冠動脈疾患例においても、非合併例と同様に有効かつ安全に使用できるのではないかとの見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)