糖尿病を合併した高血圧患者には、厳格な降圧が必要で、その際に用いる降圧薬には腎保護作用に優れたARBと少量利尿薬またはCa拮抗薬(CCB)の併用が推奨されている。埼玉医科大学の山本仁至氏らは、その「推奨される組み合わせ」のひとつであるロサルタン(LOS)/ヒドロクロロチアジド(HCTZ)合剤の糖尿病合併高血圧患者に対する効果と安全性を検討する観察研究・DIAMOND studyの中間解析結果をカナダ・バンクーバーにて9月26日〜30日までから開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。3カ月間の追跡において、LOS/HCTZ合剤は、降圧と腎保護という2つの要素をともに満たしていた。

 DIAMOND(DIAbetes in MOroyama with Nulotan/Dichlotride)studyは、埼玉医大を含む58施設の病院およびクリニックの共同による多施設共同観察研究。

 対象は、ARB単剤もしくはARB+CCB(アムロジピン)による降圧治療を1カ月以上継続するも降圧不十分(<130/80mmHg)な2型糖尿病合併高血圧患者で、試験開始時に、それまで用いられていたARBをLOS/HCTZ合剤に切り替え、1年間の追跡がなされた。つまり、ARB単剤→LOS/HCTZ群とARB+CCB→LOS/HCTZ+CCB群の2群に分けて追跡したことになる。ただし、切り替え3カ月後の評価において降圧不十分な場合は、CCBを含めた他剤の追加や増量が許可された。今回報告されたデータは、切り替え3カ月後、すなわち他剤の追加・増量がなされる前の解析結果である。

 同研究には206人の患者が登録。うち161人に対し、ARBからLOS/HCTZ合剤への切り替えがなされた。平均年齢は65.0歳、男性の割合は65.8%であり、高血圧の罹病期間は平均9.5年、糖尿病の罹病期間は平均10.4年であった。また、48.4%(78人)が脂質異常症、8.1%(13人)が高尿酸血症、6.8%(11人)が糖尿病性腎症を合併していた。

 これらのうち、3カ月までの治療を完遂した患者は153人。3カ月後の収縮期血圧(SBP)は登録時の150.8mmHgから136.7mmHgへ、拡張期血圧(DBP)は81.8mmHgから75.3mmHgへと有意に低下していた(ともにp<0.01)。ARB+CCBからLOS/HCTZ合剤+CCBに切り替えた群(n=58)とARB単剤からLOS/HCTZ合剤に切り替えた群(n=95)の間に有意な差は見られなかった(ΔSBP/DBP: 11.2/4.9mmHg vs 15.7/7.7mmHg、NS)。

 日本高血圧学会のガイドライン(JSH2009)における糖尿病合併患者に対する降圧目標値(<130/80mmHg)を達成した患者の割合は、SBPが1.9%から24.8%へ、DBPが36.6%から57.8%へと有意に増加し、SBP・DBPともに目標を達成した患者の割合も0%から21.1%へと有意に増加した(すべてp<0.05)。

 さらに、全体の34.5%の患者で尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の改善を認め、UACRの平均値は59.4mg/gCrから30.1 mg/gCrへと有意に低下した(p=0.02)。これにより、切り替え前にUACR>300mg/gCrであった2人は微量アルブミン尿へと改善し、切り替え前に微量アルブミン尿が認められた10人のうち3人は正常アルブミン尿へと改善した。

 一方、空腹時血糖値(147.8mg/dL→148.4mg/dL)やHbA1c(6.7%→6.8%)には有意な変化は認められず、血清K値(4.3mEq/L→4.2mEq/L)、eGFR(72.7mL/min/1.73m2→70.4mL/min/1.73m2)も不変であった。また、血清尿酸値は全体では有意な増加が認められた(5.23ng/dL→5.49ng/dL)が、この増加はもともとの尿酸値が低い患者における正常範囲内での上昇(5.0mg/dL→5.3mg/dL、p<0.001)に基づくもので、登録時に高尿酸血症を呈していた9人においてはむしろ尿酸値が低下傾向を示した(7.8mg/dL→7.4mg/dL、NS)。

 以上の結果から、ARB単剤もしくはARB+CCBにて降圧不十分な糖尿病合併高血圧患者に対するARBのLOS/HCTZ合剤への切り替え後3カ月の成績は、糖代謝に悪影響を及ぼすことなく、降圧効果の増強と腎機能の改善が期待できる結果が示された。山本氏らは、さらなる観察を続け、長期的な効果と安全性を検討するつもりであると結んだ。

(日経メディカル別冊編集)