大阪府立急性期・総合医療センター院長の荻原俊男氏

 Ca拮抗薬はわが国で汎用されている降圧薬の1つだが、Ca拮抗薬と併用すべき降圧薬に関する最適な組み合わせは明らかになっていない。日本の高血圧治療ガイドラインが推奨するCa拮抗薬と他の降圧薬の組み合わせのうち、どの薬剤が降圧効果と心血管イベント抑制効果に優れているかを検討した結果、長時間作用型Ca拮抗薬ベニジピンにはサイアザイド系利尿薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が適していることが明らかになった。これは、多施設共同臨床試験であるCOPE試験から明らかになったもので、COPE Trial研究会・研究代表者の荻原俊男氏(大阪府立急性期・総合医療センター院長)が、バンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)のLate Breaking Clinical Trialsで報告した。

 COPE試験はPROBE法(前向き無作為化オープンラベル・エンドポイント非開示法)で実施された。登録対象は40歳以上85歳以下の外来患者で、140mmHg/90mmHg以上の高血圧患者とした。

 長時間作用型Ca拮抗薬ベニジピン(4mg/日)を基礎薬とし、β遮断薬、ARB、サイアザイド系利尿薬のいずれかを併用投与する3群に無作為に割り付け、3年間追跡した。降圧目標値は140/90mmHg未満とし、降圧目標値に未到達の場合には、まずベニジピンを8mg/日に増量し、さらに未達の場合は各併用薬を増量する。それでも到達しなければ、試験薬以外の降圧薬を追加することとした。

 主要評価項目は、複合脳心血管イベント(突然死、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、心不全の新規発症、心臓突然死、末梢動脈疾患の新規発症および増悪、腎不全の発症あるいは増悪、血清クレアチニン値4mg/dL以上、腎透析、腎移植)、降圧目標値の達成度とした。また、2次評価項目は、複合心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、一過性脳虚血発作を除く非致死性脳卒中)、糖尿病の新規発症など。

 本試験の総登録患者は3501人で、β遮断薬群に1166人、ARB群に1167例、サイアザイド系尿薬群に1168例が無作為に割り付けられ、それぞれ1089人、1110人、1094人が解析対象となった。登録時に各群とも血圧は153/89mmHg、心拍数74拍/分、糖尿病合併例14%、脂質異常症約40%、喫煙者40%で、各群間で患者背景に特に差は認められなかった。

 追跡期間中の血圧値には群間差は認められず、追跡開始3年目における血圧値はβ遮断薬群133.9/77.0mmHg、ARB群134.7/77.2mmHg、サイアザイド系利尿薬群134.0/76.6mmHgであった。降圧目標達成率はそれぞれ66.8%、64.1%、66.0%で、やはり3群間に有意差はなかった。

 主要評価項目である複合脳心血管イベントについては、患者1000人・年当たりの発生率でみると、β遮断薬群は12.6人、ARB群は10.4人、サイアザイド系利尿薬群は8.2人であった。ARB群はβ遮断薬群に比べ少ない傾向が認められたものの(ハザード比1.54、95%CI 0.98-2.41、p=0.0567)、3群間に有意差は認められなかった。

 2次評価項目である複合心血管イベントの患者1000人・年当たりの発生率は、サイアザイド系利尿薬群はβ遮断薬群に比べ有意に低く(3.5人 vs 7.5人、p=0.0201)、致死性・非致死性脳卒中の発生率もサイアザイド系利尿薬群はβ遮断薬群に比べ有意に低かった(3.0人 vs 7.0人、p=0.0108)。一方、糖尿病の新規発症率(患者1000人・年当たり)はARB群でβ遮断薬群に比べ有意に低かった(5.3人 vs 9.7人、p=0.0240)。

 有害事象に関しては、高尿酸血症および低カリウム血症の発現率はサイアザイド系利尿薬群で、高カリウム血症の発現率はARB群でそれぞれ高かった。また、除脈はβ遮断薬群で、めまいはβ遮断薬群およびサイアザイド系利尿薬群で高頻度に認められた。

 以上の結果を総合して荻原氏は、降圧治療のためにCa拮抗薬ベニジピンに併用する降圧薬としては、β遮断薬よりもサイアザイド系利尿薬あるいはARBが適していると結論した。

(日経メディカル別冊編集)