米国CVRx社のSenior Research ScientistのChristopher L. Kaufman氏

 降圧薬を3剤以上服用している重症高血圧患者に対して、埋め込み型の圧受容器(伸展受容器)を刺激するデバイスを用いることで、中心動脈圧が低下、左室肥大が抑制され、運動能が改善することが示された。9月26日からバンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)で、米国CVRx社のSenior Research ScientistのChristopher L. Kaufman氏が発表した。

 この開発中の新しいデバイスは、血管の進展刺激を中枢神経系に伝達する、頸動脈にある圧受容器(伸展受容体)を電気的に刺激する埋め込み型デバイス「Rheos System」。本体は鎖骨近辺に埋め込み、電極を頸動脈につなげる。現在、米国や欧州で臨床試験が進められている。

 ヒトでは圧受容器が刺激を受けると中枢神経系にシグナルが伝達され、血圧が上昇、あるいは低下する。Rheos Systemはこの圧受容器に電気的刺激を与えるもので、結果的に血圧を低下させる機能を持つ。Kaufman氏によれば、患者ごとに最適のプログラムを設定可能で、患者の病態に応じてプログラムを組み込んでいくという。

 今回発表したのは、収縮期血圧160mmHg以上で、利尿薬を含む3種以上の降圧薬を服用している高血圧患者21例を対象に、「Rheos System」を埋め込んで1カ月後に圧受容器への電気的刺激を開始し、12カ月後に心エコーや心臓の1回仕事量(Stroke work、収縮期血圧×心拍出量×0.0144)、中心動脈圧を測定した結果だ。

 その結果、埋め込み前の左室重量係数(LVMI)は132g/m2から108g/m2に有意に改善。心臓の1回仕事量も194g/mから163g/mと有意に改善した。左室重量も埋め込み前の228gから235gへ、左室中隔壁も14.0mmから12.4mmへと有意に改善していた。QOLを評価する指標であるSF-12も有意に改善した。

 ドイツHannover大学のKarsten Housser氏らはこの「Rhoes System」を埋め込んだ12例の解析結果を発表。中心動脈圧が収縮期で178mmHg→142mmHgへ、拡張期で101→83mmHgへと有意に改善していたことや心拍数も71.9拍/分から66.7拍/分へと減少していることを発表した。

 開発を担当しているKaufman氏は、今後症例数を増やして有効性を評価するとともに、この埋め込み型デバイスの医療経済学的評価や長期予後などの解析も進めていきたいと語った。

(日経メディカル別冊編集)