フランスParis Descartes大学のYi Zhang氏らは、高齢者を対象に心血管の石灰化の有無とその程度が死亡に及ぼす影響を調べた。その結果、動脈石灰化ではなく、僧帽弁や大動脈弁などの心臓弁石灰化が全死亡の予測因子であることを示し、9月26日から9月30日にかけてバンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 今回、検討対象としたのは高齢者331人(年齢86.8歳、男性26.0%、血圧131.7/65.3mmHg、心拍数70.2拍/分)で、平均378日間の追跡期間中に110人(33.2%)が死亡した。なお、石灰化については超音波検査により評価した。

 まず、石灰化スコアの増加に伴って、平均年齢と全死亡率の有意な増加傾向、および血漿アルブミンの有意な低下傾向が認められた。一方、喫煙率、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、中性脂肪、高感度CRP、クレアチンクリアランス、血清クレアチンなどには差は認められなかった。

 背景因子を組み入れた多変量回帰モデルでは、石灰化スコアは血清アルブミン低値、血糖高値、血清クレアチニン高値、拡張期血圧低値といった因子とともに、全死亡リスクの独立した予測因子であることが明らかになった(ハザード比1.47、95%CI 1.08-1.99、p=0.013)。

 次に、心臓石灰化(僧帽弁輪部、大動脈弁)と動脈石灰化(腹部大動脈、頸動脈、大腿動脈)に分けて全死亡との関連を検討したところ、動脈石灰化は全体の89%超に認められたものの、全死亡との関連はなかった。一方、心臓石灰化が認められたのは36%であったが、全死亡と有意に関連していることが示された(ハザード比1.92、95%CI 1.28-2.87)。

 以上から、平均年齢が85歳を超える高齢者集団で、石灰化の程度と全死亡の間には有意な関連があることが示された。そしてZhang氏は、動脈石灰化が全死亡に及ぼす影響は少ないと考えられる一方で、心臓弁石灰化は動脈石灰化より頻度が低いものの、全死亡の予測能が高かったと強調した。

(日経メディカル別冊編集)