東北労災病院の宗像正徳氏

 いくつかの病態において、血中の尿酸高値は微量アルブミン尿のリスク因子となることが報告されている。今回、東北労災病院の宗像正徳氏は、これまでに明らかにされていなかった一般住民における血清尿酸値と微量アルブミン尿との関連性について検討し、その結果をバンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会で報告した。

 この研究は、宮城県亘理郡亘理町の一般住民を対象としたコホート研究(亘理町研究)で、対象は亘理町の住民3044人(男性40%、平均年齢61歳)。

 アンケート調査により既往歴、現在の薬物療法の内容、嗜好品の有無を尋ね、身体測定を実施した。血圧値は、自動血圧測定器により座位血圧を2回測定し、その平均値を採用した。また、空腹時に採血を行い、血清脂質値、糖代謝指標(空腹時血糖値、HbA1c)、腎機能(クレアチニン、推算糸球体濾過量[eGFR])、尿酸値を測定した。尿中アルブミン排泄量は濁度分析により測定し、朝のスポット尿を採取して尿中アルブミン/クレアチニン比を求めた。

 対象者3044人のうち、尿中アルブミン排泄量が正常範囲(<30mg/g・Cr)にあったのは2810人(92.3%)で、微量アルブミン尿(30〜299mg/g・Cr)は220人(7.2%)、顕性アルブミン尿(≧300mg/g・Cr)は14人(0.45%)に認められた。

 微量アルブミン尿群は平均年齢64歳で、正常アルブミン尿群60歳に比べて高齢だった。血圧値は、微量アルブミン尿群は正常アルブミン尿群に比べて高かった(微量アルブミン尿群138.9mmHg/79.1mmHg、正常アルブミン尿群128.0/73.4mmHg)。血清脂質プロファイルについては、LDL-C値は群間差は認められなかったものの、HDL-C値や中性脂肪値は有意な悪化が認められた。また、空腹時血糖値は微量アルブミン尿群で有意に高く(微量アルブミン尿群100.0mg/dL、正常アルブミン尿群92.5mg/dL)、HbA1cも微量アルブミン尿群は5.9%で正常アルブミン尿群5.5%に比べて有意に高かった。腎機能については、eGFRには群間に有意差を認めなかったが(ともに約77mL/min/1.73m2)、血清クレアチニン値は微量アルブミン尿群で有意に高く、尿酸値(5.3mg/dL vs 4.8mg/dL)も微量アルブミン尿群で有意に高かった。

 多変量回帰分析により、背景因子で補正して微量アルブミン尿のリスク因子を解析したところ、収縮期血圧値、FBS、尿酸値が有意なリスク因子として同定された。

 次に尿酸値について、男性では5.2mg/dL、6.2mg/dL、女性では4.0mg/dL、4.8mg/dLを分位数として3群に分け、微量アルブミン尿との関連性を多変量回帰分析により検討した。その結果、男性の微量アルブミン尿発現リスクは、尿酸値が最も低い群に比べて最も高い群では2.259倍(95%CI 1.299-3.931)、女性では1.652倍(95%CI 0.974-2.799)高いことが明らかにされた。

 以上の検討から宗像氏は、一般集団における血清尿酸値高値は、微量アルブミン尿のリスク因子となると結論した。

(日経メディカル別冊編集)