カナダOttawa Heart Institute大学のEftyhia Helis氏

 前高血圧(pre-hypertension)のおよそ3分の1が、4年以内に高血圧を発症するとの報告がなされている。そこでカナダOttawa Heart Institute大学Minto Prevention and Rehabilitation CentreのEftyhia Helis氏はハンガリーの研究者らとともに、ハンガリーの若中年者を対象に前高血圧の予測因子について検討した。その結果を、9月26日からバンクーバーで開催されている第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 今回、検討対象としたのは銀行勤務の1000人(平均年齢32.6歳)および工場勤務の1021人(同37.0歳)で、血圧値や心拍数、職場における様々な心血管イベントのリスク因子について調べた。血圧値と心拍数に関しては、カナダBpTRU Medical Devices社の自動測定装置を用いて6回連続測定し、初回データを除いた5回の平均値を採用した。なお、JNC-7の血圧分類に基づき、対象者を正常血圧群(120/80mmHg未満)、前高血圧群(120〜139/80〜89mmHg)、高血圧群(140/90mmHg以上)に分けた。

 銀行勤務者の背景を見ると、正常血圧群は368人(女性比率76.9%)、前高血圧群は459人(同66.7%)、高血圧群は173人(同61.8%)であった。平均年齢はそれぞれ31.7歳、31.7歳、36.3歳で、心拍数はそれぞれ73.5拍/分、78.3拍/分、84.4拍/分であった。高血圧群では男性が多く、年齢も高く、心拍数も多かった。

 一方、工場勤務者については、正常血圧群は394人(同59.6%)、前高血圧群は346人(同25.7%)、高血圧群は281人(同32.4%)であり、平均年齢はそれぞれ35.5歳、34.7歳、41.8歳、心拍数はそれぞれ75.7拍/分、79.3拍/分、81.8拍/分であった。こちらの高血圧群も銀行勤務者群と同様の傾向が見られた。

 多変量ロジスティック回帰分析の結果、年齢や性別、BMI、喫煙の有無、職場などの因子で補正しても、職場別および総合解析のいずれにおいても、前高血圧の独立した有意な予測因子として心拍数が同定された(p<0.0001)。また、心拍数が5拍/分増えるごとに前高血圧の発症リスクは24%高まることも分かった(オッズ比1.24、95%CI 1.18-1.31)。また、女性に比べて男性では前高血圧になるリスクが高かった(オッズ比 2.9、95%CI 2.0-3.2)。

 以上の検討から、若中年のハンガリー人において、前高血圧の独立した予測因子は年齢ではなく、心拍数であることが明らかになった。またHelis氏は、高血圧発症に至りやすい前高血圧者を同定すべく、心拍数の有用性を検討する研究が計画されていると述べた。

(日経メディカル別冊編集)