オランダTI Food and NutritionのM.A.van Baak氏

 総エネルギー摂取量を変えなくても栄養組成を変えることで、血圧が低下する可能性が報告されている。オランダTI Food and NutritionのM.A.van Baak氏らは、食事中の蛋白質摂取量を増やすことで診察室および自由行動下血圧が低下するかどうかを検討し、その結果を9月26日からバンクーバーで開催された第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 本研究は4週間の二重盲検無作為化並行群間試験として実施された。対象は2週間のrun-in期間の最終観察時に、過体重(BMI 25〜30kg/m2)かつ血圧軽度上昇(130〜160/85〜100mmHg)が認められた症例。高蛋白質食あるいは高糖質食を用いて介入を行い、4週間の追跡期間中1週間おきに診察室血圧、体重の推移、自由行動下昼間血圧を評価した。

 対象者には、run-in期間は体重を維持しながら標準食を摂取するよう指導した。標準食のカロリー構成は蛋白質15%、脂質30%、糖質55%とした。試験開始時に、食事の内容は変えずに、標準食メニューに含まれている甘味飲料として摂取していた糖質60gを、高蛋白質食では蛋白質60gを含むサプリメント飲料に、高糖質食ではマルトデキストリン60gを含むサプリメント飲料に置き換えた。蛋白質サプリメント飲料の組成は動物性蛋白質(卵白、牛乳)が60%、植物性蛋白質(大豆、エンドウ豆)が40%で、こうした蛋白質のパウダーを溶かした飲料とした。なお、両群でNa、K、Ca、リンなどの摂取量は等しくなるように調整した。

 試験対象となった94例のうち、高蛋白質食群には43例(男性29例、女性14例)、高糖質食群には51例(男性35例、女性16例)が割り付けられた。年齢はそれぞれ55.0歳、55.3歳、BMIはそれぞれ28.8 kg/m2、27. 9kg/m2、収縮期血圧は142.6および143.3mmHg、拡張期血圧は92.2および92.9mmHgで、群間の背景因子に有意差は認められなかった。

 標準食から高蛋白質食あるいは高糖質食への変更により、両群で2週後までに診察室血圧は低下したが、その後、高蛋白質食群では血圧は低値に維持されたのに対して、高糖質食群ではベースライン値への回帰傾向を示した。ベースライン値補正後の4週後における群間の血圧差は収縮期血圧が4.9mmHg、拡張期血圧が2.7mmHgとなり、高蛋白質食群で有意に良好であった。高蛋白質食群の4週後の診察室収縮期血圧は約137mmHg、診察室拡張期血圧は約88mmHgだった。

 また、4週後の自由行動下昼間血圧を測定したところ、高蛋白質食群と高糖質食群の平均血圧差は収縮期血圧4.1mmHg、拡張期血圧1.7mmHgとなり、有意差は認められなかったものの、高蛋白質食群で低い傾向を示した。なお、4週間の試験期間中に体重には有意な変動は認められず、2群間でも差は見られなかった。

 以上の検討からはvan Baak氏は、未治療高血圧の過体重例では、食事中の糖質を、卵白や牛乳、大豆やエンドウ豆などの蛋白質に置き換えることで、血圧降下作用が得られると結論した。

(日経メディカル別冊編集)