琉球大学の崎間敦氏

 近年、日本では降圧薬の合剤の使用が拡大している。最初に登場したロサルタン/ヒドロクロロチアジド(HCTZ)合剤は、長期処方解禁から2年以上が経過し、使用経験の蓄積が最も進んでいる。琉球大学の崎間敦氏らは、ARBと利尿薬の併用からロサルタン/HCTZ合剤への切り替えを行った患者104人の血圧変化とアドヒアランス、治療満足度を検討した結果、切り替えから6カ月で降圧目標達成率が44%から61.5%に向上したことを、バンクーバーにて9月26日から開催されている第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 今回の検討には、さまざまなARBと利尿薬の併用による治療を2カ月以上継続中の高血圧患者のうち、ロサルタン50mg/HCTZ 12.5mg配合剤への切り替えに同意した104人が登録。うち中途脱落した13人を除く91人(平均年齢65.2歳、男性37.4%)を解析の対象とした。

 切り替え前に投与されていたARBの内訳は、カンデサルタン45人(平均投与量6.8mg/日)、バルサルタン19人(84.2mg/日)、テルミサルタン4人(30.0mg/日)、ロサルタン5人(50.0mg/日)、オルメサルタン16人(15.0mg/日)であった。また、利尿薬の内訳は、トリクロルメチアジド53人(0.66mg/日)、インダパミド35人(0.53mg/日)、メフルシド3人(20.83mg/日)であった。

 解析の結果、ベースライン時の平均血圧値は、収縮期血圧(SBP)が132mmHg、拡張期血圧(DBP)が76mmHgで、日本高血圧学会のガイドライン(JSH2009)が掲げる降圧目標値の達成率は44.0%であった。

 切り替え6カ月後の平均血圧値は、SBPが126mmHg、DBPが72mmHgへとベースライン時に比べ有意に低下し(それぞれp<0.0001、p=0.0064)、降圧目標達成率も61.5%へと上昇した(p<0.05)。

 さらに、血清尿酸値は6.0mg/dLから5.7mg/dLへと有意に改善された(p=0.0004)。一方、血清クレアチニン値は0.74mg/dLから0.76mg/dLへと若干上昇し(p=0.0143)、推定糸球体濾過率(eGFR)は72.7mL/min/1.73m2から69.5mL/min/1.73m2へ(p=0.0183)とわずかに低下したが、いずれも臨床的に問題となるレベルの変化ではなかった。

 またアドヒアランスに関して、週に1回以上薬を飲み忘れる患者の割合は、切り替え後初回外来時、6カ月後のいずれにおいても、ベースライン時に比して有意に低下していた(p<0.001)。

 なお、今回の検討は切り替え前の治療下で比較的良好にコントロールされていた患者が多かったためか、切り替え後の初回外来時点での治療に対する満足度を尋ねるアンケート調査では、「満足」あるいは「やや満足」という回答が3/4あまりを占めていた。切り替え6カ月後の調査ではその割合がさらに増加し、ほぼ8割の患者から「満足」または「やや満足」との回答が得られた。

 切り替え後の初回外来時点で満足度の改善がみられた患者群(12人)では、満足度が不変あるいは若干低下した患者群(76人)よりSBPが有意に低下していた(p=0.0078)。よって、血圧低下が満足度に大きく影響していることが考えられた。また、満足度改善の理由として、約1/4の患者が薬の錠数が減ったことをあげていた。

 以上の結果より、ロサルタン/HCTZ配合剤への切り替えによって、高血圧患者の血圧コントロールを改善し、血清尿酸値の改善にも有用であることが示された。また、アドヒアランスも向上し、患者の満足度も高まった。崎間氏は、「これからの降圧治療においては、治療の主役である患者の利便性や満足度も考慮すべきであろう」と結んだ。

(日経メディカル別冊編集)