国立病院機構九州医療センターの守永友希氏

 高血圧を予防、あるいは管理する上で塩分摂取制限は重要だが、成人になってから食事習慣やライフスタイルを変えることは容易ではない。そのため、小児期に塩分摂取量の低い食習慣を身に付けることは重要といえる。今回、国立病院機構九州医療センターの守永友希氏らは、日本人の3歳児の塩分摂取量と、それに影響を及ぼす背景因子を調べ、その結果を9月26日からバンクーバーで開催中の第23回国際高血圧学会のポスターセッションで報告した。

 対象は2008年4月から2009年3月までの期間に3歳児健診を受けた3歳児1424例(男児745例、女児679例)。早朝第一尿を採取して、尿中のNa、K、クレアチニン値を測定した。さらに対象児の保護者から、質問票を用いて子供の食習慣を聞き取り調査した。

 対象児の背景は、身長93.1cm、体重13.7kg、小児の発育状態の指標であるKaup指数は15.7g/cm2(標準値は15〜19g/cm2)で、母親の年齢は33.7歳、初産例は52%を占めた。尿検査の結果は、尿中クレアチニン値67.9mg/dL、尿中Na値139.5mmoL/L、尿中K値66.6mmoL/Lで、尿中Na値とK値には有意な関連性は認められなかった。

 クレアチニン補正後の尿中Na排泄量は75mmoL/日、グラム換算では4.4g/日だった。尿中Na排泄量の分布を見ると3g/日未満が45%、3〜6g/日が31%、6〜10g/日が20%、10g超/日が4%で、6g/日以上の子供が24%を占めた。一方、クレアチニン補正後の尿中K排泄量は36mmoL/日であった。

 背景因子が尿中Na排泄量、K排泄量などに及ぼす影響を検討したところ、第1子群(734例)では尿中Na排泄量は72.1mmoL/日で第2子以降群(690例)77.8mmoL/日に比べて有意に低く、尿中Na/K比は有意に低かった。

 また、間食を毎日食べる群(1029例)では食べない群(386例)に比べて、尿中Na排泄量は有意に多く、Kaup指数は有意に高かった。さらに、果物を毎日食べる群(655例)では食べない群(730例)に比べて、尿中K排泄量は有意に多く、尿中Na/K比は有意に低く、Kaup指数は有意に高かった。

 なお、保護者への質問で、「塩分を取り過ぎないように注意を払っている」と回答した保護者の年齢は、「注意を払っていない」と回答した母親に比べて有意に高かった。また、尿中Na排泄量は、保護者が塩分を取り過ぎないように注意を払っているかどうかにかかわらず有意な差は見られなかったが、尿中K排泄量は前者で有意に多かった。

 以上の検討から、日本人の3歳児では塩分過剰摂取例が少なくないことが明らかとなった。守永氏は、兄や姉の存在、間食や果物の食習慣がNaやK摂取量に影響を及ぼしたという今回の結果から、保護者には子供が塩分を摂り過ぎないよう注意喚起することが重要だと結論した。

(日経メディカル別冊編集)