山口県立総合医療センターの福冨基城氏

 単剤の降圧薬で十分な降圧が得られない場合には、単剤の増量と他剤の追加併用という2つの選択肢がある。この点において、長時間作用型Ca拮抗薬(CCB)アムロジピンの増量は、24時間安定した降圧をもたらす有用な対処法である。また、ARBロサルタンへの少量の利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)の追加は、互いの機序を補完し、降圧効果の増強をもたらすことが報告されている。山口県立総合医療センターの福冨基城氏らは、この両レジメンを直接比較する無作為化比較試験ALPHABET Study-ABPMを実施した結果、両者の降圧効果は同等ながら、腎保護作用においてロサルタン+HCTZが有意に優れることを、バンクーバーで9月26日から開催されている第23回国際高血圧学会(ISH2010)で報告した。

 本検討の対象は、未治療の収縮期血圧(SBP)140mmHg以上、および/または拡張期血圧(DBP)90mmHg以上の本態性高血圧患者。除外基準は二次性高血圧、両側腎動脈狭窄、血清クレアチニン>2mg/dL、中等度―重度の心不全、心筋梗塞または脳卒中の既往者とし、これに抵触しない91人が試験に組み入れられた。

 これらの患者は、無作為化のうえロサルタン+HCTZ群(L/HCTZ群:n=47)と、アムロジピン群(AM群:n=43)に割り付けられ、それぞれに定められたレジメンによる8週間の治療を受けた。 レジメンは、L/HCTZ群にはロサルタン50mg/日が4週間投与され、その後HCTZ 12.5mg/日を追加してさらに4週間の治療するもので、AM群にはアムロジピン5mg/日が4週間投与され、その後アムロジピンを10mg/日に増量してさらに4週間の治療をするものとした。ベースライン時における患者背景には、両群間に差はなかった。全91例のうち、 L/HCTZ群の8例とAM群の9例は、4週間の治療で十分な降圧が得られたため、HCTZの追加、およびアムロジピンの増量は行われなかった。また、 L/HCTZ群の2例とAM群の1例が追跡途中で脱落したため、追加・増量試験を完遂した患者は L/HCTZ群37例、AM群34例の計81例だった。

解析は、全91例に対するintention-to-treat(ITT)解析と、試験完遂者に対するper protocol(PP)解析のそれぞれにより、ベースライン時と8週後の外来随時血圧と家庭血圧、血中BNP値、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)、そして24時間血圧モニタリング(ABPM)データの変化を比較した。

 その結果、両群の外来血圧と家庭血圧は、両群とも同等に低下し、ABPMによる24時間平均血圧や日中血圧、夜間血圧についても両群同等な低下が認められた。

 また、8週後のBNP値については、 L/HCTZ群で5.1pg/ml、AM群で5.8pg/mlの低下が認められ(ともにp<0.05)、両群間に有意差はなかった。

 しかし、UACRについては L/HCTZ群が、17.1%有意に低下(p<0.001)したのに対し、AM群では逆に5.4%の上昇がみられ(NS vs ベースライン時)、両群間には有意な差が認められた。

 これらの結果から、常用量のロサルタンと少量のHCTZの併用は、アムロジピンの倍量投与と降圧効果は同等ながら、腎保護効果の面ではアムロジピン倍量投与より有意に優っていることが示された。福冨氏らは、「ロサルタン+HCTZ療法は24時間安定した降圧と心・腎保護作用を兼ね備えた有用な治療レジメンである」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)