欧州8カ国での調査によれば、冠動脈疾患(CHD)患者に対する降圧薬治療の実施率は12年間で有意に高まってきているものの、血圧値の目標達成率は全く改善されていないことが示された。EUROASPIRE研究グループのKornelia Kotseva氏(英Imperial College London・National Heart and Lung Institute)らが、9月26日からバンクーバーで開催されている第23回国際高血圧学会(ISH2010)で発表した。

 EUROASPIRE(European Action on Secondary and Primary Prevention through Intervention to Reduce Events)は、欧州心臓病学会(ESC)の支援で行われている冠動脈疾患の予防に関する調査で、リスク因子や治療管理の状況を明らかにするのが主な狙い。冠動脈疾患(CABG施行、PTCA施行、急性心筋梗塞、急性心筋虚血)患者を対象に、医療機関の医療記録を後ろ向きにレビューするとともに、入院から6カ月以降にインタビューと検査を行ってデータを収集している。

 同調査はこれまでに3回行われており、最初のEUROASPIRE Iは1995〜96年に9カ国で、EUROASPIRE IIは1999〜2000年に15カ国で、EUROASPIRE IIIは2006〜07年に22カ国で行われた。直近のEUROASPIRE IIIは、22カ国の76病院において実施され、1万3935人の医療記録と8966人のインタビューを集計した。

 今回報告された内容は、これまでに実施された3回の調査にすべて参加している8カ国(オランダ、スロベニア、フランス、イタリア、フィンランド、ドイツ、チェコ、ハンガリー)のデータをまとめたもの。なお、
 降圧治療の実施率を8カ国全体で見ると、84.5%、90.6%、96.8%と有意に高まっており(p<0.0001)、ハンガリー以外の国では調査を重ねるごとに高まっている。EUROASPIRE IIIにおいて、最も低いのはオランダ(94.1%)であり、反対に最も高いのはフィンランド(98.8%)であった。

 しかし、血圧コントロール(非糖尿病患者は140/90mmHg未満、糖尿病患者は130/80mmHg未満)の達成率は芳しくない。8カ国全体で見ると、41.0%、41.2%、38.7%と改善傾向が全く見られず(p=0.57)、国別に見ても改善し続けている国はない。なお、EUROASPIRE IIIにおいて、最も高いのはドイツ(45.2%)であり、反対に最も低いのはフィンランド(29.1%)という結果であった。

 こうした結果を踏まえ、Kotseva氏は「さらなる生活習慣の管理と降圧薬の適切な使用により、冠疾患患者における血圧コントロールを改善する余地がかなり残されている」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)