札幌医科大の大西浩文氏

 ウエスト周囲径を基に判定する腹部肥満は、メタボリックシンドロームの重要な診断基準だ。しかし、腹部肥満と高血圧罹患の関係は明らかではなかった。札幌医科大の大西浩文氏らは、北海道の2町の住民を対象にした研究で、腹部肥満が高血圧発症の独立した予測因子であることを見出し、17日の一般口頭「メタボリックシンドローム、糖尿病、肥満」セッションで報告した。

 対象は北海道の端野町(現在は北見市)と壮瞥町の住民で、1994〜2002年に健康診断を受けた712人から、1994年の時点で高血圧ではなかった男性187人、女性209人を登録した。被験者は、腹部肥満(AO)群と腹部肥満なし(非AO)群に分類した。腹部肥満かどうかは、日本のメタボリックシンドロームの定義に記載されている基準(男性85cm以上、女性90cm以上)に基づいて判定した。

 ベースラインで、非AO群の平均年齢は57.2歳、AO群では59.5歳。AO群の方が、BMI、血圧、総コレステロール値、トリグリセリド、空腹時血糖値(FPG)が有意に高く、HDL-Cは有意に低かった。また、男女ともウエスト周囲径と拡張期圧、収縮期圧との間に有意な相関が見られた。

 高血圧(140mmHg/90mmHg以上、または降圧剤の使用)の罹患率を2002年に評価し、非AO群とAO群における高血圧発症の相対リスクを調べた。

 試験の終了時に、非AO群312人中177人が非AOを維持していた。高血圧を発症したのは、そのうちの74人(罹患率は31.8%)だった。非AO群でAOになったのは79人で、うち36人(罹患率は45.6%)が高血圧を発症していた。

 また、ベースラインでAO群だった84人中15人が2002年には非AOになっていた。高血圧を発症していたのはそのうち4人(罹患率26.7%)。また、当初からずっとAOだった69人中40人(罹患率58.0%)が高血圧を発症していた。

 ロジスティック回帰分析の結果、高血圧発症の相対リスクは、(1)ベースラインでAOの場合2.02(P=0.035)、(2)ウエスト周囲径が終了時までに1cm以上増加した場合には2.49(P=0.007)といずれも有意に高く、腹部肥満が高血圧発症の独立した予測因子であることが示唆された。