スウェーデン・ウメオ大学のLars H. Lindholm氏。

 スウェーデンの50万人規模の地域データから、降圧薬の投与によって、高血圧が明らかに改善されることが示された。半面、同国の一般医はなお、高血圧患者の治療意欲が不十分だという。スウェーデン・ウメオ大学のLars H. Lindholm氏が、19日のプレナリ(注目)セッションで、「How common is hypertension-and what do we do about it」と題した講演で報告した。

 この結果は、1995年に開始された「Northern Sweden Stroke Prevention Study」による。介入を行うVasterbotten地区(25万人)と対照のSormland地区(26万人)において、脳卒中の発生頻度と、血圧を含めた患者データや投薬データを記録した。介入地区では、2001年に高血圧薬物治療に関する意思決定支援システムを導入、2004年には教育プログラムを開始した。

 介入地区では1995〜2005年にかけ、高血圧患者の血圧データが61万件集まった。1995年の開始当初には年々ゆるやかに低下する程度だった高血圧患者の収縮期血圧は、2001年からは大きく低下した。1995年に155mmHgだった平均収縮期血圧は、2005年には145mmHgに近づいた。Lindholm氏は、「血圧の低下は降圧薬の投与量が増加したため」という。投薬データによれば、降圧薬の投与量は2001年から2005年にかけて1.4倍になっている。

 こうした改善傾向がある半面、スウェーデンの一般医は高血圧に対する治療意欲が低い傾向があるとLindholm氏は指摘する。同氏は、高血圧に対する医師の治療意欲について調べた興味深い研究成果を紹介した。

 この研究では、実際の高血圧患者データベースから、4段階のリスク群(low、medium、high、very high)を含むように抽出された54人の詳細な患者情報を用意し、これを一般医110人、専門医29人に診断してもらった。1人の医師には、その中から無作為に選んだ12人分の記録を渡した。

 その結果、180mmHg/110 mmHg以上で1つ以上の心血管リスクがあるといった「very high」リスクの患者に対して、「治療の必要あり」と診断したのは、専門医では92.9%だったが、一般医では77.2%と大幅、かつ有意に少なかった。Lindholm氏はこれらの結果から、スウェーデンにおいては、一般医の「治療する意欲(willingness to treat)」が高血圧に関しては低いと指摘していた。