家庭で測定し、患者が記録した血圧値は信頼できるのか。どうやら答えは「ほぼノー」のようだ。メモリー機能があることを知らせずに渡した血圧計で患者に測定データを申告してもらい、後で内蔵メモリーの記録と照合する実験を行ったところ、申告値と記録が完全に一致したのは、対象患者の2割に過ぎなかった。駿河台日本大学病院循環器科の大久保具明氏と久代登志男氏らの研究グループが、19日の一般口演「家庭血圧値のばらつき2」で発表した。「ICメモリーや記録紙を使わない場合は、こうした現状を念頭において診療するしかないだろう」(久代氏)という。

 白衣高血圧仮面高血圧など環境によって左右されやすい血圧は、家庭で測る方がよいといわれている。だが自己測定による家庭血圧値は患者の心理が絡むためか、どうも正確ではなさそうだ。

 実験は、職場の健康診断を受け、収縮期血圧140mmHg以上、あるいは拡張期血圧90mmHg以上で、高血圧治療を受けていない人を対象とした。

 条件に合った30人(平均51歳)に、メモリー機能のあることを告げずに血圧計を渡し、1週間、自宅で朝と夜の2回測定して日誌に記録するように依頼した。

 その結果、日誌とメモリーの血圧値がすべて一致したのは30人中6人に過ぎなかった。一致しなかった人のうちメモリーより低い値を書いたのが22人、メモリーより高い値を書いたのが1人、日誌に記録した測定時刻の5分以内にメモリーのデータはあるものの、全く架空の数値を書いていた人が13人だった。

 日誌の記録回数とメモリーに残っている記録回数も異なっていた。低めの数値を書いた人たちの場合、日誌の記録は平均26回だが、メモリーには平均34回記録されており、最も多いケースでは62回もあった。その日のうちに何回も測定し、「良い」値を書きとめたらしい。