アイルランド王立外科大学のEamon Dolan氏。

 「夜間の収縮期血圧心血管イベントの予測因子であり、24時間血圧を測るべきだ」――18日のセッション「血圧変動と家庭血圧1」では、大規模な観察研究やメタアナリシスの結果から、夜間血圧の重要性を示す報告が続いた。

 アイルランド王立外科大学のEamon Dolan氏とベルギー・ルーベン大学のJan A. Staessen氏らは、大規模観察研究「DUBLIN Outcome Study」に登録された1万1291人を対象に、夜間の収縮期血圧の低下率が心血管系死亡のリスクを示すことを明らかにした。

 平均5.8年のフォローアップ期間中、心血管系死亡が566人、うち脳卒中による死亡が151人あった。収縮期血圧の夜間低下率((昼間血圧−夜間血圧)/昼間血圧)と心血管系死亡との関連を、性別、年齢、喫煙、糖尿病歴、心血管イベント既往、BMI、24時間収縮期血圧の平均で補正して求めた。

 その結果、低下率が0%以下のreverse dipper型では、正常なdipper型(低下率10%以上)に対する相対ハザード比が最も高く、全心血管系死亡で1.70(95%信頼区間 1.35-2.11, P<0.05)、脳卒中では2.69(同1.77-4.08, P<0.05)と高く、心死亡は1.35(同1.01-1.81, P<0.05)だった。

 Staessen氏は、「予後予測には夜間血圧の監視が適切であり、長時間連続血圧測定(ABPM)と血圧管理が重要」と指摘していた。

ベルギー・ルーベン大学のRobert H. Fagard氏。

 一方、ベルギー・ルーベン大学のRobert H. Fagard氏とJan A. Staessen氏らは、メタ解析の結果、脳・心血管イベント予測には夜間血圧が重要であることを明らかにし、同じセッションで報告した。

 分析対象は4試験(APTH、OvA 、Primary care study、Syst-Eur)で、高血圧患者の総数は3738人。平均年齢は61歳で6割が降圧治療を受けていた。エンドポイントを全死亡、心血管による死亡、冠疾患、心不全、脳血管疾患とし、それぞれについて、収縮期血圧で1標準偏差分の上昇があった場合の危険率を求めた。

 その結果、夜間の収縮期血圧の上昇は、通常のリスク因子(性別、年齢、降圧治療、総コレステロール、喫煙、心血管イベント既往)に加え、外来血圧で調整後、全エンドポイントについてハザード比が1.26〜1.42と有意に高かった。これらに加えて昼間の平均血圧で調整しても、1.27〜1.43と全エンドポイントについて有意に高かった。

 これに対して昼間収縮期血圧の上昇は、通常のリスク因子で調整後には、全死亡と心不全を除くイベントだけで有意であり、さらに夜間の平均血圧で調整すると、脳血管疾患を除いて有意なリスク上昇は見られなかった。

 これらの結果から研究グループは、脳・心血管イベント予測因子としては、昼間の収縮期血圧よりも夜間の収縮期血圧の方が優れていると結論付けていた。