「認知症の発症を数年遅らせるだけでも医療全体への効果は大きい」と語るフランスLariboisiere病院のChristophe Tzourio氏

 高血圧による認知機能への影響は大きく、(降圧治療によって)認知症の発症を数年遅らせるだけでも医療全体への効果は大きい――フランスLariboisiere病院のChristophe Tzourio氏は、18日開催の早朝ワークショップ「高血圧と脳卒中」で、「高血圧、認知、認知症」と題して講演した。

 認知症は65歳以上の5%に見られ、発症率は年齢と共に高くなる。高齢化に伴い2040年には全世界の認知症患者は8100万人に上るとの推計もある。インドや中国では、現在の3倍に増加するという。

 仮に米国で、認知症の発症を1年間遅らせることができれば、50年間で80万人の発症が減少し、経済的にも年間100億ドルの削減につながると推計されている。このため「発症を数年遅らせることの効果は大きい」とTzourio氏は話す。

 降圧薬による治療が、認知機能低下および認知症に対して効果がないとするSCOPE試験などの報告もあるが、孤立性収縮期高血圧(ISH)患者に対してCa拮抗薬を投与したSyst-Eur2試験では、認知症のリスクを55%低下させたことが示されている。

 またTzourio氏らが行ったPROGRESS試験では、降圧薬が脳卒中既往者の認知症リスクを34%低下させ、認知機能低下も45%抑制させることが分かっている。半面、非既往者ではそれぞれ1%、9%の低下にとどまった。

 Tzourio氏は、「確かに、高血圧は脳血管性認知症に対して高い相対リスクだが、それ以外の認知症についての発症リスクは低い。しかし、低リスクであっても高血圧患者は非常に多いため、認知症の発症者数に与える影響は大きいだろう」と述べていた。