「バルサルタンが心房リモデリングを抑制した結果、新規心房細動の発症抑制につながった可能性はあると思う」と語るドイツErlangen-Nuernberg大のR.Schmieder氏

 ハイリスク高血圧患者を対象としたVALUE試験のサブ解析において、バルサルタン群の新規心房細動発症率がアムロジピン群に比べて有意に低かったことが判明した。同試験の実施メンバーでドイツErlangen-Nuernberg大のR.Schmieder氏が、18日の最新臨床試験報告(LBCT:Late-Breaking Clinical Trial)セッションで報告した。

 VALUE試験の対象は、ハイリスクの高血圧患者1万5314例。これをアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)のバルサルタン、もしくはCa拮抗薬のアムロジピンをベースとする治療群に無作為割り付けし、前向きに平均4.2年間追跡した。試験期間中、目標血圧140/90mmHgに達するよう、薬物療法が段階的に強化された。すなわち、バルサルタンは80mg/日で開始後に160mg/日まで増量可、アムロジピンは5mg/日で開始後に10mg/日まで増量可。次にヒドロクロロチアジドを2段階(12.5、25mg/日)に分けて追加し、最終的にARB、Ca拮抗薬、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬を除く他の降圧薬が追加された。

 なお、本試験の一次エンドポイントは心イベント(心房細動を含まない)であり、既にバルサルタンによる心不全や新規糖尿病の発症抑制などが報告されている。

 今回のサブ解析では、心電図データを毎年収集できた患者(ほぼ全例)を対象とし、その中から、少なくとも1回の心房細動、または継続的な心房細動の新規発症を解析した。

 結果として、試験期間中、致死性と非致死性の心不全、あるいは致死性と非致死性の脳卒中を起こした患者グループで心房細動が有意に多く、各々の新規発症率は17.4%と7.4%であった。

 試験群別にみると、初回発作までの期間はアムロジピン群に比べ、バルサルタン群で有意に延長しており、オッズ比は0.68(0.53-0.89、p=0.005)だった。

 新規心房細動の内容別にみると、「少なくとも1回の心房細動」は、バルサルタン群の3.67%、アムロジピン群では4.34%に発症しており、相対リスクはバルサルタン群にて16%低下していた(p=0.044)。一方、「継続的な心房細動」は各々1.35%と1.97%に発症し、相対リスクはバルサルタン群で32%低下していた(p=0.005)。これらの結果は、交絡因子(患者背景)で補正後にも不変だったことから、ハイリスク高血圧患者における心房細動の一次予防には、バルサルタンの方が優れていることが示唆された。

 次に演者らは、今回認められたバルサルタンの優位性を説明すべく、左室肥大抑制や血漿カリウム濃度、心拍数、利尿薬の使用状況などについて群間差異を検索したが、十分な答えは見付けられなかった。同氏は、「本試験では未検討だが、バルサルタンが心房リモデリングを抑制した結果、新規心房細動の発症抑制につながった可能性はあると思う」と語った。最近の心房細動治療においてARBが、心房リモデリングを阻止するUp-stream治療薬として注目を集めているのは周知のことである。

 なお、慢性心不全患者を対象としたVal-HeFT試験のサブ解析からも、バルサルタンが心房細動を減少させると報告されていた。そして今回、ハイリスクの高血圧患者において同じ効果が示された。高血圧患者は心房細動の重要な予備軍とされることから、発症前からARBを投与するUp-stream治療が大切であり、バルサルタンはその役割を十分に果たすものと期待される。