「高血圧患者における性機能不全を適切に認識して治療することが必要」と語るギリシア・トラキアThrace大のMichail Doumas氏。

 高血圧症の中高年女性の4割に性機能不全のあることが、ギリシア・トラキアThrace大のMichail Doumas氏らの研究で明らかになった。16日の一般口演「疫学1」セッションで報告された。「性機能不全は患者およびそのパートナーのQOL(生活の質)に影響を与える。高血圧患者における性機能不全を適切に認識して治療することが必要」(Doumas氏)という。

 性機能不全は性欲の減少や性交時の痛みなどを主訴とする疾患。「古くからあった疾患だが、最近になってQOLをおびやかす疾患に関心が及ぶようになった」とDoumas氏はいう。高血圧症など慢性疾患に伴う性機能不全は徐々に報告されるようになってきている。なお、男性高血圧患者の勃起障害は、軽度から重度までを含めると35%で、健常人の14%に比べて多いといわれる。

 この研究の対象は、高血圧症の女性216人(平均48歳)と非高血圧症の女性201人(平均47歳)。高血圧群の平均収縮期血圧は156.4mmHg、拡張期血圧は87.8mmHgだった。

 性欲や膣の潤滑、満足感、痛みなど性機能を評価する質問票である「Female sexual function index(FSFI)」を使って調べた結果、高血圧群では42%が、正常血圧群では19%が性機能不全と判断された(P<0.001)。また年代が高いほど性機能不全の発症頻度も高いことが分かった。

 FSFIのスコアは収縮期血圧との関連性がみられ、治療群と未治療群で分けた結果、性機能不全は治療群(収縮期血圧159 mmHg)の48%、未治療群(同153 mmHg)では33%と、治療群で性機能不全が多く見られた。このことから、高血圧症の罹病期間と年齢が性機能不全の予測因子になるという。喫煙や飲酒との関連性は認められなかった。

 Doumas氏は、「性機能不全には十分な血圧管理が必要であり、内科医や一般開業医は、この問題に悩む女性を助けることができる立場にある」と示唆していた。