「早朝高血圧は脳卒中リスクとの関連性は低い」と語るスペイン・サンティアゴ大病院のCarlos Calvo氏。

 長時間血圧測定において、脳血管イベントの発生を予測するのは、早朝高血圧モーニングサージ)ではなく、昼間の血圧と夜間の血圧の差−−スペイン・サンティアゴ大病院のCarlos Calvo氏らは、地域住民の24時間血圧を約3年間追跡した臨床試験から、16日の一般口演セッション「脳卒中、アンジオテンシン」でこんな成果を報告した。薬剤投与によって日内変動を正常に戻すことが、脳卒中のリスク低下につながる、という。

 夜間と昼間の血圧の差が大きいほど、心臓や脳、腎臓などの臓器障害リスクを高めることはよく知られている。研究グループは、MAPEC(Monitorizacion Ambulatoria de la Presion arterial y Eventos Cardiovasculares)と名付けた試験を実施し、日中の血圧と夜間の血圧の差(DNR)およびモーニングサージと、脳血管イベント発症の関連性を調べた。

 対象は地域住民2643人(平均51.9歳)。自由行動下24時間血圧測定(ABPM)により2142人が高血圧症と診断され、正常血圧の501人のうち7割は白衣高血圧を呈していた。血圧は7時から23時までは20分ごと、夜間は30分ごとに測定し、48時間続けた。

 3.2年間(中央値)の追跡の結果、年齢や性別、糖尿病、高血圧治療で調整すると、脳血管イベントの発生は、(1)夜間の睡眠時に血圧が低下しないnon-dipper型では年間100人当たり0.47人、(2)夜間の血圧が昼間より高いriser型ではさらに高く2.22人だった。これに対して、(3)夜間の血圧が昼間より低下するdipper型(正常型)では0.21人、(4)昼間血圧に対して夜間血圧が20%以上低下するextreme-dipper型では0.31人と少なかった。

 また脳血管イベントが発生した人の試験開始時のDNRは、発生しなかった人に比べて有意に小さく、日内変動が極めて少ない状況が脳血管イベントに関連することが示された(P<0.001)。さらにイベント発生群では開始時のDNRよりも試験終了時のDNRが低く、およそ3年間の追跡期間中、血圧の日内変動が減少(悪化)していたことが分かった。

 一方、モーニングサージの血圧値によって4群に分けて脳血管イベントの発生を比べたところ、最も血圧値が小さい群の発生が最も多い結果となり、モーニングサージは無病生存を予測するものではないことが示された。