米シンシナティ大学のLaura R.Sauerbeck氏

 脳動脈瘤IA)があっても直接の死因となる頻度は低く、過度の心配は不要であることを、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中学会(ISC2010)で米シンシナティ大学のLaura R.Sauerbeck氏が報告した。

 これまでの研究で脳動脈瘤(IA)を持つ患者は死亡率が高いことが示されているが、死亡率の高さと脳動脈瘤の関連について明確な結論は出ていない。そのため、この研究では、家族の中で2人以上が脳動脈瘤という高リスクコホートの家族の登録研究であるFIAFamilial Intracranical Aneyrysm)試験において、脳動脈瘤を有する登録者(IA発症者)の死亡と試験参加時にIAを発症していない登録者(無発症者)の死亡について死因を比べ、IA発症者の死亡が動脈瘤破裂によるものなのか、ほかの原因によるものなのかを分析した。

 この研究では、FIA試験の登録者またはその代理人に試験に登録した日から1年ごと(前後30日以内)に連絡を取り、登録者の生死を調べた。登録者の死亡が報告された場合には、死亡日と死因を記録した。死因の確定には入手可能な医療記録または死亡証明書を参照した。

 2794人の登録者のうち、試験登録時に脳動脈瘤と診断されたIA発症者は1073人、脳動脈瘤と診断されてはいなかった無発症者は1721人だった。フォローアップの総数は9150人・年で、平均追跡期間は3.27±1.74年(2009年8月31日時点)。IA発症群の追跡期間は3.34±1.69年、無発症群は3.23±1.77年で、追跡期間に有意差はなかった(p=0.11)。試験登録時の年齢は発症群(54.8±11.7歳)の方が無発症群(48.6±25.9歳)よりも有意に高かった(p<0.0001)。死亡リスクはCox比例ハザードモデルにより、年齢、人種、性別、IA発症の有無、動脈瘤破裂の有無、喫煙歴、および高血圧の有無を考慮して算出した。

 年間の死亡率はIA発症群で1000人当たり13.2人、無発症群で1000人当たり8.5人。年齢で補正後、総死亡率はIA発症群と無発症群で有意な差はなかった。しかし、55歳未満に限ると、死亡リスクはIA発症群で無発症群の4.3倍高かった(95%信頼区間1.58-11.7、p=0.004)。なお、登録後10日以内の脳動脈瘤破裂を除くとIA発症群の死亡リスクは3.3倍となった。

 全死亡数は88人で、うち脳動脈瘤破裂による死亡はIA発症群で8人、無発症群では0人だった。8人中7人は登録直後に破裂が起こっていた。

 全体として見た場合、死亡と脳動脈瘤の関係は確認されなかったという今回の結果を受けSauerbeck氏は「未破裂脳動脈瘤があっても、大きくなっていないことを定期的に確認していれば、禁煙や血圧の維持でリスクをコントロールできる。破裂を過度に恐れることはない」と結論づけている。

(日経メディカル別冊編集)