脳内出血ICH)における血腫周囲の浮腫では脳血流関門BBB)の透過性が亢進しており、急性期の治療ターゲットになる可能性があることが報告された。2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中学会ISC2010)でカナダ・アルバータ大学のKen Butcher氏が発表した。

 ICHにおける浮腫の成因については意見が分かれており、血管原性だとする指摘が多い中、BBBの関与についてはほとんど調べられていない。Butcher氏らは血腫周囲の浮腫はBBBの透過性亢進と関係するという仮説を立て、局所血流を定量評価するCT perfusion(CTP)によってICH患者のBBBの透過性を調べた。

 対象としたのは、発症後24時間以内のICH患者19人(平均年齢73歳、45-100)。CTPにより透過性表面積(PS)などを算出した。CTPによる造影が行われたのは発症後平均16.2時間(6.2-23.5)、血腫の平均容積は17.7±21.6mL、血腫周辺部は7.2±9.9mLだった。出血の影響を受けていない反対側の半球のPS値(0.65±0.38mL/100g/分)と比べ、血腫のPS値(0.84±0.30mL/100g/分、p=0.027)と血腫周辺部のPS値(0.75±0.37mL/100g/分、p=0.005)はいずれも上昇していた。

 19人中14人で透過性の局所的な亢進が画像で確認され、亢進が確認された患者ではいずれも血腫および血腫周辺部が亢進領域として含まれていた。また、透過性の局所的な亢進が確認された患者の血腫周辺の浮腫の容積は22.5±24.2mLで、亢進が確認されなかった患者(7.8±4.8mL)より有意に大きかった(p=0.043)。血腫の容積については、透過性の局所的な亢進が確認された患者の方が大きい傾向にあった(21.2±24.2mL 対 7.8±4.8mL、p=0.068)。血圧、NIHSSスコア、発症から造影までの時間については、亢進が認められた患者と認められなかった患者の間で有意な差はなかった。

 また、脳出血患者19人と発症後24時間以内の急性期脳梗塞患者5人のBBB透過性を比較したデータでは、脳出血患者ではBBB透過性が脳内で全体的に亢進している傾向も示された。

 これらの結果を受けButcher氏は、「脳内出血において、局所的なBBBの透過性亢進は急性期治療の新しいターゲットとなり、全体的なBBBの透過性亢進は慢性期の治療マーカーになり得る」という展望を示した。

(日経メディカル別冊編集)