米マイアミ大学のDileep R. Yavagal氏

 血管攣縮を伴う破裂動脈瘤に対して血管内治療を選択する術者が増えているが、その安全性と術後の経過については、まだ十分なデータが蓄積されていない。2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中学会(ISC2010)では、破裂脳動脈瘤と血管攣縮に対する血管内治療の有効性を検討した多施設共同研究の成績が米マイアミ大学のDileep R. Yavagal氏により報告された。

 くも膜下出血発症後にはしばしば血管攣縮が起こるが、血管攣縮時に動脈瘤クリッピング手術を行うと予後不良との報告がある。また、術中の血行動態の変化や手術操作により脳血流が減少する危険性も指摘されている。攣縮を抑制するためクリッピング後に血管拡張薬が投与されることもあるが、動脈瘤破裂を誘発するおそれがあり、安全性は十分といえない。血管内治療はクリッピング手術と異なり動脈瘤の保護と攣縮の治療を同時に施行でき、二次治療の必要性も低いといわれ、有効性と安全性の検証が求められていた。

 本研究の対象となったのは、米国の脳卒中治療施設8施設で治療を受けたくも膜下出血患者35例(47.0±11.6歳、女性25例)。破裂脳動脈瘤とその上流で血管攣縮が認められ、一次治療として単回の血管内治療が施行された患者のデータを後ろ向きに解析した。クリッピング施行後に血管攣縮の治療が行われた症例は除外した。有用性評価の指標は、動脈瘤塞栓の成功率と合併症の頻度、術後経過(退院時のGOS、90日後のmRS)などとした。

 対象患者の発症から受診までの時間は6.9±5.0日であった。血管内治療で攣縮抑制に用いた薬剤はベラパミル(14例)、ニカルジピン(12例)、パパベリン(6例)であり、薬物治療に加えてバルーン形成術も13例に施行された。

 治療結果は血管画像により評価したが、動脈瘤完全塞栓の成功率は71%と高く、残りの症例においても動脈瘤への造影剤流入は少量であり、保護効果は良好だった。周術期の合併症として、動脈瘤破裂に関連するものが8例(22.9%)、治療処置によると考えられるものが3例(8.6%)発生した。死亡例は3例(8.6%)だった。治療に伴う合併症は上流血管の閉塞、出血による血管変形、新たな局所症状の出現であり、新規動脈瘤破裂はみられなかった。

 機能予後は退院時にグラスゴー予後スケール(GOS)により、90日後の時点では修正ランキンスケール(mRS)により評価したが、23例(65.7%)がGOSスコア5以上、24例(68.6%)がmRSスコア1以下だった。

 Yavagal氏は以上の成績に基づき、血管攣縮を伴う破裂脳動脈瘤に対し血管内治療は有効性に優れ、術後の経過も良好と結論した。

(日経メディカル別冊編集)