米アイオワ大学病院のR Charles Callison氏

 症候性頭蓋内動脈病変(sICAD)に起因する脳卒中は再発をきたしやすく、現在の薬物療法による二次予防には限界がある。こうしたなか、米国では2005年、50%を超える頭蓋内動脈狭窄に対する自己拡張型のWingspanステントWIS)の使用が承認された。米アイオワ大学病院のR Charles Callison氏(写真)らは、この新たな治療技術を“real world”で4年間にわたって使用した「手応え」を、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中学会ISC2010)で報告した。

 解析対象は、2005年12月〜2009年7月に、同病院にてsICADに対する血管内治療を受けた連続110症例(138病変)。平均年齢は60.0±14.3歳で、男性比率は66%だった。Callison氏らは、これらの患者の医療記録から、適応症、病変部位、狭窄重症度、周術期の合併症、血管造影的所見および臨床的所見に関するデータを抽出し、レトロスペクティブに解析した。

 主要評価項目は、30日以内の大きな脳卒中と頭蓋内出血、死亡、30日目以降12カ月までに生じた同側性の脳卒中と死亡である。副次的評価項目は3〜6カ月後における再狭窄発生率とした。

 110例、138病変に対する介入が試みられた結果、136病変への介入が成功し、成功率は98.6%であった。実施された手技は117回、留置されたWISの数は133個だった。WIS留置に伴い10.5%(14/133)に急性ステント血栓の発生がみられたが、いずれもtirofibanの静注により溶解した。また、手技に伴う合併症として、動脈穿孔・管外湧出が0.8%(1/117)にみられた。

 30日以内の大きな脳卒中と頭蓋内出血、死亡の発生は110例中5例(5.5%)であり、うち死亡例は2例(1.8%)だった。また、30日目以降12カ月までの同側性の脳卒中と死亡の発生率は1.8%であり、うち死亡例は0だった。その他に、一過性脳虚血発作(TIA)や可逆性虚血性神経脱落症状(RIND)など小さな虚血性イベントが8例に認められた。

 Kaplan-Meier曲線から類推されるイベント発生率は、NIHのWingspanレジストリーのデータから類推されるイベント発生率よりさらに低率であった。

 また、血管造影像から求められた狭窄率は、ベースライン時の平均77%から術後は18%へと減少した。再狭窄は21.2%(14/66)の患者に認められたが、症候性の再狭窄は4.5%(3/66)のみであった。興味深いことに、16.7%(11/66)の患者には遅発性のリモデリングがみられ、平均11%の内腔面積増加が認められたという。

 以上の結果より演者らは、「WISは現段階で最良の薬物療法を上回る利益を患者にもたらす治療法であることが、real worldの成績においても裏付けられた」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)