米ワシントン大学医学部のKyra Becker氏

 脳卒中後の感染はそれほど珍しいことではないが、その感染リスクがNIHSSSNIH Stroke Scale Score)で評価した脳卒中の重症度と関係があるとする報告があった。ワシントン大学医学部のKyra Becker氏(写真)らが2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会ISC2010)で発表した。

 Becker氏らは、感染症発症のリスクが最も高い患者を同定できれば、より選択的な予防法が可能となるに違いないと考え、脳卒中発症後72時間時点での臨床的、免疫的測定値の変動がその後の感染を予測できるかを検討した。

 試験では、発症後72時間以内の脳梗塞患者を対象とし、前向きに追跡した。感染症については臨床症状、画像所見および培養試験結果によって診断した。72時間の時点で臨床的、免疫的測定値を検査し、それらと14日時点での感染発症との関係を調べた。72時間時点でのバイオマーカーがその時点での感染に影響されないようにするため、脳卒中後の5日間で感染があると診断された患者は解析から除外した。なお、この試験は施設内治験審査委員会で承認されている。

 対象は合計で114人だった。経過をたどると、最初の15日以内に2人の患者が死亡し、5日以内に11人の患者が感染症を発症した。残りの101人の患者のうち、66%は男性で、年齢の中央値は57歳(18-80歳)、NIHSSSの中央値は10(0-32)だった。

 この101人の患者のうち25%が15日以内に感染を引き起こした。11%は肺炎(PNA)、12%は尿路感染、7%は他の軽度の感染症を発症した。

 脳卒中後6日から15日までの感染症発症のリスク上昇は、それぞれ72時間時点でのNIHSSS高位(オッズ比=3.51、95%信頼区間;1.76-7.00、p=0.001)、挿管(オッズ比=8.33、2.51-27.65、p=0.001)、経管栄養(オッズ比=4.00、1.01-15.92、p=0.049)、TNFα対IL-10の比率(オッズ比=1.81、1.16-2.84、p=0.01)、総白血球数(オッズ比=1.24、1.07-1.44、p=0.004)、hsCRP高値(オッズ比=1.17、1.05-1.31、p=0.004)などと関係があった。

 NIHSSSで調整後は、IL-1ra(オッズ比=1.02、1.00-1.03、p=0.028)、TNFα対IL-10の比率(オッズ比=2.33、1.35-4.02、p=0.002)が感染症の予測因子として残った。

 これらの結果から演者らは、「脳卒中後の感染リスクは、第一義的にNIHSSSで評価した脳卒中の重症度と関係があることが示唆された」と結論した。また、IL-1ra値の上昇あるいはTNFα対IL-10の比率の上昇という特徴が見出されたことから、これらを指標にすれば「脳卒中発症後15日以内の感染予測が期待できる」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)