米イリノイ大学シカゴ校のSepideh Amin-Hanjani氏

 合併症のリスクはあるが再発予防効果の高い血管内治療をとるか、それとも安全だが効果の劣る薬物療法をとるのか――。血管内治療という新たな選択肢の登場は、こんなジレンマも生むことになった。だが、個々の患者の再発リスクを予測できれば、こうしたジレンマに陥ることを避けられるようになるはずだ。米イリノイ大学シカゴ校のSepideh Amin-Hanjani氏(写真)らは、MRAによる血行動態評価と再発リスクの関係を検討する前向き観察研究であるVERiTAS試験(The Vertebrobasilar Flow Evaluation and Risk for Transient Ischemic Attack and Stroke Study)を計画。2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会ISC2010)において、その概要を報告した。

 VERiTAS試験の対象は、椎骨脳底動脈病変(VBD)に起因する脳卒中またはTIAの既往者である。周知のように、脳卒中の責任病変の1/3以上は椎骨脳底動脈などの後方循環系にある。また、症候性のVBDは再発しやすく、適切な薬物療法を行っても年間の再発率は10〜15%に及ぶとされている。VERiTAS試験では、18歳以上でVBDを責任病変とする脳卒中あるいはTIA発症から60日以内で、血管造影によって椎骨脳底動脈に50%以上の狭窄もしくは閉塞が確認されていることが組み入れ基準とされた。

 これらの患者には、6カ月ごとにMRAによる血行動態評価がなされる。また、毎月の電話による問診と6カ月ごとの診察によって、その後のイベント発生状況が追跡される予定だ。主要評価項目は、12カ月以内に椎骨脳底動脈支配領域に起こった脳卒中とされた。

 また、副次的評価項目は、椎骨脳底動脈支配領域に起こったTIAと致死的・非致死的脳卒中、すべての領域に生じた脳梗塞、すべての領域に生じた脳梗塞と血管死、脳梗塞+心筋梗塞+血管死、すべての脳卒中(虚血性・出血性)、全死亡、神経学的重症度(NIH-Stroke scale;NIHSS)、ADL障害(modified Barthel Index;mBI)、後遺症(modified Rankin scale;mRS,Glasgow outcome scale;GOS)などである。

 予定追跡期間は5年、目標サンプルサイズは80例である。2010年1月30日現在までに、米国・カナダの6施設において22例が登録を完了しているという。Amin-Hanjani氏らは、本試験により、「低血流」がVBDのハイリスクを決定する因子であることが証明され、MRAによる血行動態評価の有用性が明らかになることを期待している。

(日経メディカル別冊編集)