東京女子医科大学神経内科の中村智実氏

 非心原性脳梗塞の再発予防を目的として抗血小板療法が行われるが、その大きな問題点は出血リスクを伴うことだ。治療を強化すると出血リスクも上昇することがジレンマとなってきたが、抗血小板薬の中でもシロスタゾールは出血性障害を増やさないことが、これまでの研究から示唆されている。東京女子医科大学神経内科の中村智実氏(写真)らは、このようなシロスタゾールのユニークな特性に注目、脳梗塞患者を対象にアスピリン・シロスタゾール併用の有効性を検討し、併用によって脳梗塞発症後早期の神経症状の増悪が抑制されることを、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催されている国際脳卒中学会ISC2010)で報告した。

 本研究の対象となったのは発症後48時間以内の非心原性脳梗塞患者76例。対象患者をアスピリン単独投与またはアスピリン・シロスタゾール併用による治療に38例ずつ無作為割付し、6カ月間経過を観察した。アスピリンは、両群とも試験開始後3日間は300mg/日を投与、その後は100mg/日に減量して維持した。併用群のシロスタゾールは、全期間を通じて200mg/日を投与した。神経症状の変化については、発症後14日と6カ月の2つの時期で、NIHSS(NIH Stroke Scale)により評価、検討した。

 両群の年齢、性別、脳梗塞発症後の経過時間、試験開始時のNIHSSに有意差はなく、糖尿病既往はアスピリン単独群で多かったが(p=0.05)、高血圧、脂質異常症、喫煙習慣などの危険因子には有意差は認められなかった。

 発症後14日間の解析対象となったのはアスピリン単独群36例、アスピリン・シロスタゾール併用群35例だった。NIHSSの1点以上の上昇を「増悪」とし、治療前後で「増悪」と判定された患者はアスピリン単独群10例、アスピリン・シロスタゾール併用群2例であり、両群の差は有意だった(P=0.024)。一方、発症後15日〜6カ月で「増悪」と判定されたのはアスピリン・シロスタゾール群の1例だけであり、両群間の有意差は認められなかった。

 シロスタゾールは長期的に脳梗塞の再発を抑制することが証明されているが、中村氏らの研究は、非心原性脳梗塞発症後2週間という早期において、アスピリンとシロスタゾールの併用が症状増悪を抑制し得る可能性を示唆したものとして注目される。

(日経メディカル別冊編集)