米ワシントン医科大学のColin P Derdeyn氏

 頭蓋内主幹動脈の狭窄は、最良の内科的治療をもってしても脳卒中を予防することが難しい病態である。打開策として期待されるステント治療には、これまで十分なエビデンスがない状態が続いていたが、その空白を埋める新たなプロジェクトが動き始めた。米ワシントン医科大学のColin P Derdeyn氏(写真)らは、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会ISC2010)において、そのプロジェクトSAMMPRIS試験Stenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent Stroke in Intracranial Stenosis Trial)の概要を発表した。

 頭蓋内主幹動脈の粥状硬化症は脳梗塞の原因の8〜10%を占め、米国では年間5万件の発症が報告されている。しかも、この部位の狭窄に対する薬物療法の成績は芳しくなく、70〜99%の高度狭窄を有する患者の場合、ワルファリン(PT-INR 2.0〜3.0)もしくはアスピリン(1300mg/日)の投与によっても、2年以内に24%の患者が脳梗塞を発症することが2005年のWASID試験(The Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease Trial)において報告されている。

 そこで、米国をはじめとする医療先進国では、経皮的血管形成術とステント留置により脳梗塞を予防しようとする試みが近年盛んになされている。だが、その有用性はいまだ証明されておらず、無作為化比較試験による検証が切望されていた。

 こうしたなかで計画されたSAMMPRIS試験は、最良の内科的治療を対照群に据え、内科的治療に加えて血管形成術+ステント留置を行う治療の脳卒中予防効果を検討する第III相多施設共同無作為化結果遮蔽比較試験である。

 対象は、頭蓋内主幹動脈(中脳動脈、頸動脈、椎骨動脈、脳底動脈)の高度狭窄に起因する虚血性梗塞症状の発症から30日以内の患者であり、内科的治療群には全追跡期間を通したアスピリン325mg/日投与と90日間のクロピドグレル75mg/日投与に加え、高血圧や脂質異常症など併存する危険因子を是正するための適正な治療が義務づけられる。

 主要評価項目は、30日以内に起こったすべての脳卒中または死亡、対象血管の血行再建術後に起こったすべての脳卒中または死亡、対象血管に症候性の再狭窄を生じたために再度血行再建術を施行後30日以内に起こったすべての脳卒中または死亡、30日目以降に頭蓋内動脈支配領域に起こった脳卒中である。追跡予定期間は2年であり、必要なサンプルサイズは764例と計算された。

 本試験への登録は、2008年11月18日に開始され、2010年2月7日現在、51施設において231例が無作為化されたところだという。ステント治療が新たな標準治療としての地位を確立するのか否か。その動向が注目されよう。

(日経メディカル別冊編集)