米コロラド大学医学部のVirginia E. Pearson氏

 体格指数の上昇は、小児期に発症する脳静脈洞血栓症の危険因子であることが分かった。小児を対象とした前向きコホート試験で明らかになったもので、成果は米コロラド大学医学部Virginia E. Pearson氏(写真)が、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会ISC2010)で発表した。

 脳静脈洞血栓症(CSVT)は小児に非常にまれにみられる重度の疾患で、発症頻度は年間に10万人中0.67人だと推定されている。血栓性素因や頭部外傷は別として、小児における危険因子はほとんど同定されていないという。このため演者らは、成人における静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子として体格指数の上昇が挙げられていることから、小児のCSVTにおいても同じことが言えるのかどうかを調べた。

 Pearson氏らは、2006年3月から2009年8月までにCSVTと診断された23人の小児からなる小児VTE前向きコホート試験を実施し、身長と体重のデータを収集した。特に、X線撮影でCSVTと確認されてから3カ月以内の身長と体重のデータを重視した。一方、コントロール群(69人)については、別の入院患者のコホートからデータを得た。具体的には、CSVTである小児に対し、CSVTでない同時期の入院患者で年齢と性別を合致させた上で無作為に選んだ3人の体格指数を収集した。両群の体格指数の分布については、ウイルコクソンの順位和検定を用いて比較した。また、肥満(相当年齢と性別における標準の85パーセンタイル以上と定義、米疾病対策センターのデータに基づく)の頻度を、CSVT群とコントロール群でカイ二乗検定を用いて比較した。

 解析の結果、米CDCの2〜19歳のコホートデータと比較して得られた体格指数のパーセンタイルの中央値(範囲)は、CSVT群で89.4%(3.5-99.7%)だったのに対し、コントロール群では57.3%(0.2-99.4%)と、CSVT群で有意に高かった(p<0.05)。また肥満の頻度は、CSVT群の57%(13/23)に対しコントロール群は25%(17/69)で、CSVT群が有意に高かった(p=0.01)。その上、体格指数はCSVTリスクと正の関係があった(オッズ比=1.02、95%信頼区間;1.00-1.03、p=0.05)。さらにCSVTリスクは、年齢および性別で補正した体格指数が10パーセンタイル上昇するごとに平均20%上昇していた。

 演者らは、比較的小規模の前向き試験ではあったが、今回の試験から「体格指数の上昇は小児におけるCSVTの独立した危険因子であることが分かった」と結論した。体格指数が上昇すればするほどCSVTの危険が上昇するという今回の知見により、「特に肥満によってリスクが高まる小児では、CSVTの一次予防法として行動療法と栄養カウンセリングが大きな役割を果たす」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)