閉経後の女性の生体内で分泌されるエストラジオールの血中濃度が16pmol/Lより低いと高い場合に比べて脳卒中の発症リスクが小さいことが明らかとなった。またさらに、血中レベルが高い患者で骨粗鬆症治療薬である塩酸ラロキシフェンを服用すると脳卒中のリスクが減少したという。成果は米California Pacific Medical Center Reserach InstituteのJennifer S. Lee氏が2月18日に米国で開催された国際脳卒中会議のLate-breaking Scienceセッションで発表された。

 Lee氏らは骨ミネラル濃度と脊椎骨折に対する塩酸ラロキシフェンの効果を評価するための4年間にわたる二重盲検無作為化試験であるMultiple Outcomes of Raloxifene Evaluation(MORE)から得られた結果として発表したものだ。少なくとも閉経後2年以上たった80歳以下の女性で過去10年間に脳卒中もしくは血栓塞栓性の疾患を患っていない女性7705人中7290人でエストラジオールの測定を行うことができた。5pmol/L未満は検出限界以下だった。

 その結果、プラセボの投薬を受けた2447人の女性のうちエストラジオールの濃度が16pmol/L未満であった1828例で脳卒中が発生したのは15例の0.82%だったのに対して、プラセボ群でエストラジオールの濃度が16pmol/L以上の619例中15例で2.42%だった。エストラジオール濃度の低値群で脳卒中の発症が低いのは塩酸ラロキシフェン投与群でも同じだった。塩酸ラロキシフェン投与群でエストラジオールの濃度が16pmol/L未満であった3609例中脳卒中を起こしたのは30例で0.83%だった。一方、ラロキシフェン投与群でエストラジオールの濃度が16pmol/L以上であった1234例では脳卒中の発症が14例で1.13%にとどまり、塩酸ラロキシフェンによる脳卒中のリスク低減効果が確認された。塩酸ラロキシフェン投与群は1日あたり60mgもしくは120mgの投与を受けていた。

 Lee氏は、今回の結果はあくまで骨粗鬆症の患者に限定された結果であり、試験の主目的も脳卒中の効果を見るものでなかったなど、結果の問題点を自ら指摘し確認試験が必要であるとした。そして、もし確認試験で確認ができたならば血中エストラジオールの濃度測定が高齢者の女性の脳卒中リスク判定の重要な指標となり、塩酸ラロキシフェンのような薬剤が高血中エストラジオール濃度の女性の脳卒中予防に役立つかもしれないとした。