脳内出血の治療に低用量の組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)が効果がある可能性が臨床試験で明らかとなった。米Johns Hopkins大学のDaniel Hanley氏(写真)らの研究の成果だ。脳内出血は明確な治療法がなく、米国では毎年10万人以上が発症しているという。患者の半数以上が死亡するか後遺症に苦しむとされている。脳内出血の際には、脳脊髄液で満たされている脳室にまで血液が広がり、障害を引きおこす。この脳室内出血でできた血栓を微量のtPAで溶解することで、脳内出血による障害を減らそうというものだ。成果は2月18日に米国で開催された国際脳卒中会議のLate-breaking Scienceセッションで発表された。

 Hanley氏らは以前に行った試験で、26人の患者に3mgのtPAを投与すると死亡率を19%低下させることができることを明らかにしていた。しかし、3mgを投与した試験では患者の23%に出血の継続が起きてしまった。そのため、今回行った試験では出血を減らし、患者の機能改善を高めるために、よりtPAの量を減らして行われた。

 Hanley氏らは16人の患者を2群に分け、0.3mgか1mgのtPAをカテーテルを用いて12時間おきに脳室の血栓が溶解するまでか最長で4日まで投与した。CTスキャンを行った結果から、最初の3日間の血栓溶解率は、0.3mg、1mgの投与でも3mgの投与を行った場合と同等の結果が得られた。また3mgの投与を行った時と同様、0.3mg、1mgの投与で血栓をよりよく溶解することができた。3mg投与の場合とは異なり、0.3mg、1mgを投与した場合は連続的に出血が続くケースはなく、死亡例も各1例(13%)と低く抑えることができた。

 また、Hanley氏らは、血栓溶解率は同等だが脳脊髄液の解析から1mg投与の方がより長時間有効濃度を維持できることができることを見出した。しかも第3脳室と第4脳室の血栓をより速やかに溶解でき、カテーテルをより早く取り除くことができるため、副作用のリスクを低減できることを確認した。Hanley氏は「500人の患者が無作為に1mgのtPAの投与を受けるフェーズ3臨床試験が必要だ」と語った。