血小板が活性化する過程ではいろいろな分子がその機能発現にかかわっているが、そのひとつに血小板由来マイクロパーティクル(PDMP)がある。 PDMPには血栓形成を促進する作用、炎症に関与する接着分子の発現を増強させる作用があり、体内の血小板活性を動的に把握するための臨床指標として期待されているが、脳梗塞患者における抗血小板治療の有効性を検証した成績が発表され、アスピリンとシロスタゾールの併用により血清PDMP濃度が著明に低下することが示された。2月17日のポスターセッションで秋田県立脳血管研究センターの上野友之氏が報告した。

 研究対象は発症後3カ月以上を経過した慢性期脳梗塞患者182例(平均68.6歳)と健常者18例(平均72.2歳)である。被験者における血小板活性の指標としてPDMPを測定、炎症の指標として高感度CRP(hsCRP)、接着分子である可溶性P-セレクチンの血清濃度を測定し、脳梗塞患者と健常者で比較するとともに、抗血小板治療の有効性を評価した。PDMPは酵素免疫測定法(ELISA)により測定した。

 脳梗塞群と健常対照群の間で測定結果を比較したところ、P-セレクチンに有意差は認められなかったが、PDMPとhsCRPは脳梗塞群が対照群に比べ、有意に高かった( PDMP=13.0U/mL vs 6.9U/mL、p<0.01、hsCRP=1.89ng/mL vs 1.09ng/mL、p<0.05 )。

 抗血小板治療の有効性を評価するため、脳梗塞患者を次の6群に分けて3種類の抗血小板薬により治療を行い、上記臨床指標の変化を観察した。(1)アスピリン単独群(A群、60例)、(2)シロスタゾール単独群(C群、33例)、(3)チクロピジン単独群(T群、15例)、(4)アスピリン・シロスタゾール併用群(A+C群、30例)、(5)アスピリン・チクロピジン併用群(A+T群、27例)、(6)抗血小板薬不投与群(O群、17例)。治療の結果、以下のようにA群とA+C群ではPDMPとhsCRPが著明に低下し、O群との比較で有意差を生じた。また、A+C群のPDMPとhsCRPの低下度はA群に比べ有意に大きく、併用による効果の増強が認められた。

 PDMP:O群16.5U/mL、A群14.0U/mL、A+C群11.0U/mL
(O vs.A p<0.01、A vs.A+C p<0.05)
 hsCRP:O群2.69ng/mL、A群2.10ng/mL、A+C群1.22ng/mL
(O vs.A p<0.01、A vs.A+C p<0.05)

 T群におけるこれら2指標の変化は有意でなく、A+T群とA群の比較でも有意差は認められなかった。

 上野氏は以上の成績に基づき、慢性期脳梗塞患者における血小板活性および抗血小板治療の有効性を評価する指標になりうると述べ、hsCRPなどの炎症関連指標と併用することにより、治療薬の選択に資する情報が得られるとの見解を示した。