低コレステロール血症が脳底動脈解離 (CAD)の危険因子であることが分かった。低コレステロール血症によって引き起こされた血管の易損性が一因との考察も示された。国立循環器病センターの武信洋平氏らが2月16日のセッション「Community/Risk Factors」で発表した。

 脳底動脈解離は、特に若年成人における脳卒中発作の重要な原因として最近注目されるようになった。内在する動脈症が原因と考えられているが、病因はまだはっきりしないままである。研究グループは、臨床像や生化学データから、CAD症例の背景因子を明らかにするためケースコントロール研究を行った。

 対象は、日本のCAD患者110人で、国立循環器病センターに入院後24時間以内に血液サンプルが採取された症例。年齢は54±16歳で、男性が69人だった。対照は、脳卒中あるいは消耗病の既往がない330人で、年齢および性を調整した。

 喫煙、日頃のアルコール消費量、高血圧症、糖尿病、高コレステロール血症、低コレステロール血症、低タンパク血症、低アルブミン血症、および貧血は、関連因子として評価し、多変量解析を用いてCADの背景因子を分析した。

 単変量解析の結果、CADと有意に関連性があったのは、高血圧(オッズ比1.71、95%信頼区間、1.09-2.68、p=0.024)、糖尿病(オッズ比2.38、95%信頼区間1.20-4.72、p=0.019)、および低コレステロール血症(オッズ比3.15、95%信頼区間1.76-5.62、p<0.001)だった。

 多重ロジスティック回帰分析では、高血圧(オッズ比1.69、95%信頼区間1.01-2.67、p=0.044)、および低コレステロール血症(オッズ比3.34、95%信頼区間1.87-6.11、p<0.001)は、CADの独立した予測因子であることが分かった。

 低コレステロール血症がCADの独立した予測因子だった点について、研究グループは、「多くの疫学研究では、低コレステロール血症は脳内出血の危険因子であることを示している」とした上で、「低コレステロール血症によって引き起こされた血管の易損性がCADの一因であろう」と考察している。