国立国際医療センター研究所遺伝子診断治療開発研究部長の加藤規弘氏らの研究グループは、島根大学と共同で患者の大規模遺伝子解析を行い、脳梗塞に関連する8個の遺伝子上に存在する14個の1塩基多型(SNP)を同定したことを明らかにした。わが国で大規模解析によって脳梗塞に関連したSNPが同定されたのはこれが初めてになる。脳梗塞の予防や脳梗塞の発症機構解明につながる結果だ。成果は2月16日に米国で開催された国際脳卒中会議のポスターセッションで発表された。

 加藤氏らは1001人(無症候性脳梗塞(SBI)患者320人、有症候性皮質下梗塞(SSI)患者184人、対照群497人)を対象に遺伝子の解析を行った。まずインスリン抵抗性、脂質代謝関連25遺伝子、酸化ストレス、炎症関連15遺伝子、血液凝固などの25遺伝子、神経・液性因子40遺伝子、イオンチャンネル14遺伝子、レニン・アンジオテンシン系、カリクレイン・キニン系の11遺伝子のすべてのエクソン、5'UTR領域、3'UTR領域、プロモーター領域について48検体で全塩基配列を調べ、候補となる598個のSNPを選択した。

 次に1次スクリーニングとして、SBI患者約280人、対照群約480人について598個のSNPを解析したところ、66個が関係のあるSNPとして抽出された。さらにSBI患者320人、SSI患者184人、対照群497人で2次スクリーニングを行ったところ脳梗塞に関連した8個の遺伝子、14個のSNPの同定に成功した。同定されたSNPの中にはアイスランドのグループが脳梗塞との関連を指摘した遺伝子フォスフォジエステラーゼ4D(PDE4D)遺伝子上のSNPや低比重リポたんぱく質受容体上のSNPが含まれていた。ただしPDE4D上のSNPは、アイスランドのグループが報告したSNPとは異なるという。

 なお、加藤氏らは、末梢血リンパ球を用いて高齢でも画像診断で全く症状の現れない人と脳梗塞の人の遺伝子発現解析による全く新しい遺伝子多型の探索も進めている。