80歳以上の高齢者の急性脳卒中患者に対しても、血栓溶解剤である組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)による早期治療が安全かつ有効であることが明らかになった。高齢者の脳卒中患者は増加しているにも関わらず、80歳以上の患者は臨床試験からしばしば排除されるため、安全性と有効性に関するデータが少なかった。米Connecticut大学のグループの後ろ向き研究によって安全性と有効性が報告された。成果は、米国フロリダ州キシミーで開催された国際脳卒中会議の一般口演で2月16日、Connecticut大学のNeer Zeevi氏らによって発表された。

 研究グループは2003年4月から2005年12月までに脳卒中センターのデータベースに登録された80歳以上の患者341人と、80歳未満の患者690人のデータを比較した。その結果、80歳以上の患者の方がTPAの投与を受けている率が低く、それは発症後3時間以内に到着できなかったことによるわけではなかった(到着できた率は80歳以上で29%、80歳未満で26%)。除外範囲としてリストされていない理由によってTPA治療を受けられない率が80歳以上の方が高いという結果だった(80歳以上で30%強、80歳未満で20%弱)。性別でみると80歳以上の女性でTPAを受けられない場合が多かった。Zeevi氏は家庭環境などによるものと推測していた。

 また、患者のNIH stroke scaleは80歳以上で入院時に12.4が退院時に6.8、80歳未満で13.5が5.8とTPAの臨床効果は両群に見られたが、改善効果は80歳未満群の方がややよかった。3カ月目の時点で別の脳卒中の指標であるBarthel Indexは80歳未満群と80歳以上群に有意な差はなく改善効果が確認された。80歳以上群でTPAの投与後、脳内出血のリスクの増加はなかった。病院内での死亡率は80歳以上群の方が高い結果となったが、その死亡率はTPA非治療群と同等だった。