東京医科歯科大学大学院脳神経機能病態学助手の白石淳氏、教授の水澤英洋氏らの研究グループは、スタチンを前もって使用しておくと急性虚血性脳卒中を起こした患者の脳卒中の進行度が抑えられる可能性を見出した。脳卒中は全体の4分の1が入院したあと進行していってしまう。今回の結果は、スタチンを投与することで進行を抑えることができる可能性を示したといえる。成果は、米フロリダ州キシミーで開催された国際脳卒中会議のポスターセッションで2月16日に発表された。

 研究グループは、2003年1月から急性虚血性脳卒中を初めて発症し、東京医科歯科大学、取手協同病院、武蔵野赤十字病院に入院して発症後48時間以内に神経学的な評価を受けた患者を対象にした。発症前にmodified Rankin Scaleが2以上の患者と血栓溶解療法を受けていた患者は対象から排除した。対象の患者の人口統計学的データ、血管系のリスク、NIHSSスコア、血清クレアチニン量、血糖値、トータルコレステロール量などの数値、降圧剤、抗血小板剤、抗凝固剤、血糖降下剤、スタチンの事前使用の有無を調べた。脳卒中発症後48時間後にNIHSSスコアが2ポイント以上悪化(死亡も含む)した場合に、脳卒中が進行したと判断した。

 その結果、全患者517人中スタチンの投薬を受けていなかったのは455人、スタチンの投薬を受けていた患者は62人で、脳卒中が進行するハザード比は、スタチン投与群で0.43と約半分になっていた。また、スタチン以外で脳卒中の進行に関連していたのは、脳動脈狭窄が50以上の患者でハザード比が1.66、たんぱく尿の患者でハザード比が1.76、最初のNIHSSスコアが5ポイント以上だった患者でハザード比が1.21だった。スタチンの脳卒中進行抑制効果について、白石氏はスタチンの持つ抗酸化作用、抗炎症作用、プラーク安定化作用などが寄与しているのではないかと推測している。また白石氏は、脳卒中の急性期の患者を対象にスタチンを大量投与するランダム化試験の必要性を指摘した