10月18日から22日にかけてカナダ・モントリオールで開催された第20回世界糖尿病会議で、米・Oregon Health & Science UniversityのMatthew C. Riddle氏は、ACCORD試験の最新情報を報告した。Riddle氏は、「強化療法群での高い死亡率の原因は特定できなかった」と指摘した。

 ACCORD試験は、ハイリスクの2型糖尿病患者において、厳格な血糖コントロールにより低い血糖値(HbA1c値6.0%未満)を目指すことで、心血管系イベントリスクのさらなる減少が得られるかどうかを検証することが目的。2008年2月時点で(試験開始後、平均観察期間3.4年)、強化療法群が標準療法群よりも死亡率が高かったとして、厳格な血糖コントロール自体は計画より早く中止となった。今回、強化療法が中止となった時点までの、高い死亡率の原因に関して最新情報が発表された。

 強化療法群では標準療法群に比べ、総死亡率がハザード比1.22(95%信頼区間:1.01‐1.46、p=0.04)、心血管死がハザード比1.35(95%信頼区間:1.04‐1.76、p=0.02)、非致死的心筋梗塞がハザード比0.76(95%信頼区間:0.62‐0.92、p=0.004)、非致死的脳卒中がハザード比1.06(95%信頼区間:0.75‐1.50、p=0.74)だった。

 ベースライン時の患者背景によりそれぞれサブグループに分けて、強化療法群と標準療法群における死亡率との関連を検討したところ、HbA1c値が8.5%以上のグループでは、標準療法群の死亡率が3.60%に対し、強化療法群では6.14%(p=0.044)、神経障害の既往がある場合は、標準療法群の死亡率が4.11%に対し、強化療法群では7.84%(p=0.0008)、アスピリンを使用している場合は、標準療法群の死亡率が3.83%に対し、強化療法群では5.73%(p=0.031)だった。

 また、平均HbA1c値と死亡率との関連をみたところ、平均HbA1c値が1%上昇するのに伴い、強化療法群ではハザード比1.66(95%信頼区間:1.46‐1.89、p=0.0001)、標準療法群ではハザード比1.14(95%信頼区間:0.95‐1.38、p=0.17)となり、平均HbA1c値と死亡率との関連は、強化療法群と標準療法群で異なっていた。強化療法群ではHbA1c値の上昇に伴い死亡率が安定して増加するのに対し、標準療法群ではHbA1c値が7%未満のときには強化療法群よりも死亡率が高くなっていた。

 以上のことからRiddle氏は、「ACCORD試験において、急速なHbA1c値の低下、低いHbA1c平均値、また他の因子が、強化療法群でのすべての死亡や心血管死のリスクを高めるということを裏付ける結果は得られなかった。強化療法群での高い死亡率の原因は特定できなかった」とした。

(日経メディカル別冊編集)