基礎インスリンとしてのインスリングラルギン中間型NPHインスリンにおいて低血糖の頻度について解析した結果、インスリングラルギンは中間型インスリンよりも低血糖リスクが減少することが示された。網膜症の進行を評価するランダム化した5年間の研究から得られたデータに基づき解析したもの。成果は、10月18日から22日にかけてカナダ・モントリオールで開催されている第20回世界糖尿病会議で米国・Oregon Health Sciences UniversityのMatthew Riddle氏により発表された。

 対象は、罹病期間が1年間以上の2型糖尿病患者で、年齢は30〜70歳、HbA1c値は6〜12%。経口血糖降下薬とインスリン療法のいずれか、もしくは併用療法を行っているが、インスリングラルギンなどのインスリンアナログ製剤はこれまで使用していなかった。糖尿病性網膜症の既往はない。

 対象者(1024人)を1日1回のインスリングラルギンもしくは1日2回の中間型インスリンにランダム化割り付けし、経口血糖降下薬やレギュラーインスリン(速効型インスリン)を場合によって併用した。ベースライン時の患者背景に、大きな差はなかった。

 主要評価項目である試験前後で3段階以上の網膜症の進行がみられた患者の割合は、インスリングラルギン群で14.2%、中間型インスリン群で15.7%であり、差は−1.98(95%信頼区間:−7.02 - 3.06)と、有意差はないもののインスリングラルギン群で低い傾向がみられた。網膜症進行の評価については、「糖尿病網膜症の早期治療研究(ETDRS)」分類に基づいた。

 HbA1c値のベースライン時と試験終了時を比較したところ、インスリングラルギン群では8.4%から7.8%へ変化し共分散分析で0.5ポイントの低下、中間型インスリン群では8.3%から7.6%への変化で共分散分析で0.7ポイントの低下であった。

 今回報告された試験期間中の低血糖発生の割合は、すべての低血糖がインスリングラルギン群で78.1%、中間型インスリン群で83.3%(p=0.039)。70mg/dL未満の症候性低血糖はインスリングラルギン群71.9%、中間型インスリン群78.2%(p=0.025)、重篤な低血糖はインスリングラルギン群8.0%、中間型インスリン群12.3%だった(p=0.024)。

 試験終了時のHbA1c値と症候性低血糖発生の割合との関係をみたところ、有意な相関があった(95%信頼区間:−0.54 - −0.13、p=0.0014)。また、症候性低血糖の累積発生数をみたところ、試験期間が進むにつれて、インスリングラルギン群と中間型インスリン群の差が増大していた。

 そこで、個々の患者データを使用し、HbA1c値の変化による調整を行った後、インスリングラルギンと中間型インスリンにおける低血糖の頻度についてNNT(人/5年)を求めた。その結果、すべての低血糖はNNT20(p=0.038)、36mg/dL未満の症候性低血糖はNNT15(p=0.023)、70mg/dL未満の症候性低血糖はNNT17(p=0.024)、重篤な低血糖はNNT23(p=0.023)となり、いずれもインスリングラルギンの有用性が中間型インスリンを上回っていた。

(日経メディカル別冊編集)