非小細胞肺癌を対象にした上皮細胞成長因子受容体EGFR)抗体セツキシマブの効果は、KRAS遺伝子が野生型でも変異型でも差がないことが明らかとなった。一方、EGFR受容体に変異がある場合には変異がない場合に比べて、全生存が延長した。これは進行非小細胞肺癌を対象に、化学療法と併用でファーストラインとして用いることで、全生存期間が対象群よりも改善できることが示されたFLEX試験のバイオマーカー解析の結果、判明したもの。

 大腸癌では、KRAS変異があるとセツキシマブの効果が低くなることがレトロスペクティブな解析で明らかになっている。KRASに変異があることで、EGFRを抑えても増殖シグナルが伝わるためと考えられているが、肺癌ではその論理は証明されなかった。成果は7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催された世界肺癌学会で、ドイツHospital GrosshansdorfのUlrich Gatzemeier氏によって発表された。

 FLEX試験は30カ国166施設で行われた試験で、EGFRを発現している3B期/4期の進行非小細胞肺癌患者をシスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)とシスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(セツキシマブ併用群)に分けて行われた。シスプラチンとビノレルビンは3週置きにシスプラチン0mg/m2を1日目、ビノレルビン25(30)mg/m2を1日目と8日目に投与することを1サイクルとして最大で6サイクルまで投与した。セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与した。セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付けられた。試験全体では、主要評価項目だった全生存期間中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、化学療法のみ群では42%だった。

 今回発表されたのは、バイオマーカーとしてKRAS変異、EGFR変異を調べた結果。1125人中395人の患者でKRAS変異が調べられた。75人(19%)の患者でKRAS変異があることが判明したが、全生存率は変異のある群とない群では大きな差がなかった。一方、293人の患者でEGFR変異が調べられ、49人(17%)の患者でEGFRのリン酸化ドメインに変異が見つかった。EGFRに変異のある患者の方が変異がない患者よりも全生存期間は長かった。ただし、EGFR変異は予後予測因子にはなるが、効果予測因子ではないと研究グループは指摘している。

 現在までに肺癌で見つかっている効果予測因子は、1サイクル目での皮疹だけだった。