University of TurinのSilvia Novello氏

 スニチニブは脳転移に対し放射線療法を受けた非小細胞肺癌患者において安全に投与でき、脳内の抗腫瘍効果も一部で認められたことが、フェーズ2試験で明らかになった。イタリアUniversity of TurinSilvia Novello氏(写真)らが、7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催された第13回世界肺癌学会で発表した。

 肺癌からの脳転移は多く、非小細胞肺癌において脳転移はおよそ25%で、予後が不良であると言われる。前臨床試験で脳転移の増大にはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)が重要であり、さらにスニチニブは血液脳関門を通ることができると報告されている。そこで、Novello氏らはVEGF受容体を含むマルチキナーゼ阻害剤であるスニチニブの投与を検討した。

 対象は脳転移(4cm以下)を有した非小細胞肺癌で、2週間以上前に全脳照射(WBRT)を受け、さらに2回までの全身療法を受けた患者59人とした。スニチニブ37.5mg/日を連続投与し、忍容性によって25mg/日から50mg/日まで調整した。

 腺癌が37人、扁平上皮癌が11人、大細胞癌が2人、細気管支肺胞上皮癌が1人、その他の組織型が8人だった。前治療は手術が41人、全身療法を1から2レジメン受けた患者は48人だった。

 この結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は9.9週(95%信頼区間7.0-13.4)、生存期間中央値は19.4週(同11.4-38.6)だった。また評価できた53人のうち、12人(23%)で病勢安定が認められた。

 脳内の抗腫瘍効果に関しては、予備的なデータではあるが、10人(26%)で病勢安定が、7人(18%)に病勢進行が見られた。

 スニチニブの投与によって脳内出血は認められず、グレード3/4の有害事象は痙攣が1人、精神障害が1人、末梢運動神経障害が1人で、主なグレード3/4の非血液毒性は呼吸困難が6人、倦怠感が5人、高血圧が3人だった。グレード3/4の血液毒性では、白血球減少が4人、血小板減少が1人、貧血が1人に見られた。

 また健康関連QOL(FLSI、FBrSI)は治療期間で大きな変化はなく、咳、体重減少、呼吸困難といった肺癌症状は治療中に減少した。

 これらの結果から演者らは、経口のスニチニブは照射を受けた脳転移のある非小細胞肺癌において安全に投与でき、脳内出血も認められなかったと結論付けた。