Vall d'Hebron University HospitalのEnriqueta Felip氏

 非小細胞肺癌に対する術前化学療法は、術後化学療法よりもコンプライアンスが良く、手術単独に比べ統計的に有意ではなかったが、無病生存期間および生存期間を延長させる傾向が示された。無作為化フェーズ3試験「NATCH」の長期成績で明らかになった。Spanish Lung Cancer Groupを代表してスペインVall d'Hebron University HospitalEnriqueta Felip氏(写真)が、7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催された第13回世界肺癌学会で発表した。

 試験はステージ1から3Aの非小細胞肺癌患者624人を対象に、手術単独群、術前に化学療法を行う群、術後に化学療法を行う群の3群で比較した。化学療法は、3週置きにパクリタキセル(200mg/m2/3h)とカルボプラチン(AUC=6)を第1日目に投与し、これを3サイクル行った。

 フォローアップ期間の中央値は50カ月。主要評価項目である5年無病生存(DFS)は、手術単独群が34.1%、術前化学療法群が38.3%で、手術単独群に対するハザード比は0.92(95%信頼区間0.81-1.04)、p値は0.176と統計的な有意差はなかった。また術後化学療法群の5年DFSは36.6%で、ハザード比は0.96(同0.75-1.22)、p値は0.73だった。また3年DFSは手術単独群が41.9%、術前化学療法群は48.4%、術後化学療法群は44.9%、DFS中央値はそれぞれ25.1カ月、31.5カ月、26.0カ月だった。

 生存期間中央値は手術単独群が48.8カ月、術前化学療法群が55.2カ月、術後化学療法群が50.3カ月、3年生存率はそれぞれ58.6%、59.2%、58.4%で、5年生存率は44%、46.6%、45.5%であり、いずれも手術単独群に比べて、統計的な有意差はなかったが、術前化学療法群で良好な傾向は見られた。

 術後化学療法群における奏効率は53%(106人/199人)で、完全奏効が9%、部分奏効が44%、病勢安定が32%、病勢進行は5%に認められた。また病理学的な完全奏効(pCR)は9.5%だった。

 化学療法へのコンプライアンスを比較したところ、術前化学療法群(199人)では化学療法を受けた人の比率は97%と高く、3サイクルの治療完遂率は90%だった。一方、術後化学療法群(210人)では66%で、3サイクルの治療完遂率は61%に留まった。また術前化学療法も術後化学療法も忍容性が確認された。