Emory University のSuresh Ramalingam氏

 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤vorinostatをカルボプラチンとパクリタキセルに追加併用した無作為化フェーズ2試験で、進行非小細胞肺癌において抗腫瘍効果が認められたことが明らかになった。米Emory University のSuresh Ramalingam氏(写真)らが、7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催された第13回世界肺癌会議で発表した。

 試験はステージ3B/4の非小細胞肺癌を対象に、ファーストライン治療として、カルボプラチンとパクリタキセルの併用に、vorinostatを投与する群とプラセボを投与する群を2対1の割合で無作為に割り付けた。3週間を1サイクルとして、カルボプラチン(AUC=6mg/mL×分)とパクリタキセル(200mg/m2)を3日目に投与し、vorinostat(400mg)もしくはプラセボを1から14日目に投与した。

 94人が登録され、ステージ4がvorinostat群(62人)は92%、プラセボ群(32人)は97%で、組織型では扁平上皮癌が両群とも19%、腺癌がそれぞれ29%、34%だった。投与サイクル数の中央値は両群とも4サイクルだった。

 抗腫瘍効果はvorinostat群が34%、プラセボ群は12.5%で有意差が認められた(p=0.021)。無増悪生存期間(PFS)は予備的なデータだが、中央値でvorinostat群は6.0カ月、プラセボ群は4.1カ月(ハザード比0.79、p=0.33)だった。生存期間中央値はそれぞれ13カ月、9.7カ月(ハザード比0.67、p=0.17)で、1年生存率は53%と35%だった。

 主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少がvorinostat群では43%、プラセボ群は47%で、血小板減少はそれぞれ33%、16%、倦怠感が13%、3%、脱水症が10%、6%、低ナトリウム血症が19%、9%、下痢が5%、0%であった。治療の中止はvorinostat群で27%と高く、プラセボ群では16%だった。

 これらの結果から演者らは、カルボプラチンとパクリタキセルへのvorinostatの追加投与は奏効率に優れ、進行非小細胞肺癌に対し、HDAC阻害剤は期待できる治療法であると結論付けた。

 DNAはヒストンという蛋白質が巻き付いた構造をしており、ヒストンがアセチル化されるとその構造が緩み、DNAが転写される。癌細胞ではヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の異常な活性で過剰な脱アセチル化が進み、DNAの転写が抑制されている。HDAC阻害剤であるvorinostatは、アセチル化あるいはDNAの断片化を促し、パクリタキセルや白金系製剤の抗腫瘍効果を促進すると言われていた。