米UT Southwestern Medical CenterのJonathan Dowell氏

 悪性中皮腫の治療にはペメトレキセドシスプラチンの併用が用いられるが、さらにベバシズマブを追加することで、治療成績が上がる可能性のあることが示された。多施設共同フェーズ2試験で明らかになった。米UT Southwestern Medical CenterJonathan Dowell氏(写真)らが、7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催されている第13回世界肺癌学会で発表した。

 フェーズ2試験では、シスプラチン(75mg/m2)とペメトレキセド(500mg/m2)、ベバシズマブ(15mg/kg)を3週間置きに6サイクルの投与を行い、その後、ベバシズマブだけを病勢進行まで継続した。

 2006年3月から2009年2月までに、4施設の43人が登録された。原発部位は、胸膜が82.5%、腹膜が15%を占めた。また胸膜中皮腫のうち、EORTCリスクグループで高リスクとなる人が85%、低リスクの人が15%だった。主要評価項目は、6カ月時点の無増悪生存期間(PFS)とした。

 フォローアップ期間10カ月において、評価できた40人のPFS中央値は6.9カ月(95%信頼区間5.3-7.7)で、6カ月のPFS率は54%だった。生存期間中央値は14.8カ月(同10-18.8)、部分奏効は43%、病勢安定は38%で、病勢コントロール率は81%となった。

 毒性は43人で評価された。グレード3/4の有害事象は、好中球減少が7%、血小板減少が3%、静脈血栓症が14%、高血圧が7%、嘔吐が5%、粘膜炎が5%、脳血管障害が2%だった。

 「この結果は、既報のペメトレキセドとシスプラチンによる治療成績に比べて良好で、特に高リスクで予後不良の患者が大半を占めた対象においては良い結果だった」(Dowell氏)とし、毒性についても中等度であったとまとめた。試験はまだ進行中で、65人までの登録を予定しているという。

 ディスカサントとして登壇したカナダMcGill University Health CareのVera Hirsh氏は、悪性中皮腫では高いレベルのVEGF(血管内皮細胞増殖因子)が発現しており、ベバシズマブなどのVEGFの阻害剤は期待できるとした。

 米国では悪性胸膜中皮腫の治療薬としてペメトレキセドとシスプラチンの併用が認められており、PFS中央値は5.7カ月、生存期間中央値は12.1カ月、奏効率は41%と報告されている(Vogelzang, JCO 2003)。わが国でも2007年に、ペメトレキセドはシスプラチンとの併用で、悪性胸膜中皮腫の治療薬として承認されている。