進行性非小細胞肺癌のファーストライン治療としてゲフィチニブの有効性を示したフェーズ3試験IPASSで、日本人でもゲフィチニブ単独療法はカルボプラチンとパクリタキセルの併用療法に比べ、無増悪生存期間を延長することが明らかになった。九州がんセンター呼吸器科の一瀬幸人氏らが、7月31日から8月4日にサンフランシスコで開催されている第13回世界肺癌学会で発表した。

 IPASS(IRESSA Pan-Asian Study)試験は、化学療法による治療歴がなく、非喫煙もしくは軽度の喫煙経験者で、腺癌のステージ3B/4期のアジア人非小細胞肺癌患者を対象に、ゲフィチニブを投与する群(609人)とカルボプラチンとパクリタキセルを併用投与する群(608人)を比較した。

 主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、全患者においてゲフィチニブ群がカルボプラチン+パクリタキセル群に比べて優れていた(ハザード比0.74、p<0.0001)。ただし、最初の6カ月はカルボプラチン+パクリタキセル群が上回っており、その後ゲフィチニブ群の方が良好な結果だった。奏効率は、ゲフィチニブ群が43.0%、カルボプラチン+パクリタキセル群が32.2%だった(オッズ比1.59、p=0.0001)。

 今回の発表では日本人233人(全体の19%)を対象としたサブ解析の結果が報告された。PFSにおけるハザード比は0.69(95%信頼区間0.51-0.94、p=0.0191)と、日本人以外の患者の結果とほぼ同じであった(交互作用検定p=0.4736)。奏効率は、ゲフィチニブ群(114人)が41.2%、カルボプラチン+パクリタキセル群(119人)が34.5%で、オッズ比1.34(同0.78-2.30、p=0.2967)だった。

 生存期間中央値は、ゲフィチニブ群が22.4カ月、カルボプラチン+パクリタキセル群は評価できなかった。1年生存率はそれぞれ80%、78%とほぼ同じだった。一方、全患者では生存期間中央値は、ゲフィチニブ群が18.6カ月、カルボプラチン+パクリタキセル群は17.3カ月、1年生存率はそれぞれ68%、64%であった。「全身状態PS 2の割合が日本の方が少なかったこともあり(4%対10%)、日本の方が生存期間は長い結果になった」と一瀬氏は指摘した。

 QOLは、TOI (Total score and Trial Outcome Index)による評価では、ゲフィチニブ群の方が良い結果だったが、FACT-L(Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung)による評価では2群はほぼ同じで、肺癌症状(LCS)も2群で同じ結果であった。

 安全性については、全患者と同様に、日本人でもグレード3/4の有害事象はカルボプラチン+パクリタキセル群が62.7%であるのに対し、ゲフィチニブ群では33.3%と少なかった。しかし日本人では、有害事象による治療の中止が多く、ゲフィチニブ群で13.2%、カルボプラチン+パクリタキセル群が29.7%で、全患者ではそれぞれ6.9%、13.6%だった。