静岡県立静岡がんセンターの山本信之氏

 上皮細胞成長因子受容体EGFR)と上皮細胞成長因子受容体2HER2)の両方のチロシンキナーゼを不可逆的に阻害するBIBW2992が日本人の進行非小細胞性肺癌NSCLC)患者にも安全で有効である可能性が明らかとなった。日本で行われたフェーズ1試験の結果示されたもの。成果は8月1日、サンフランシスコで開催されている世界肺癌学会のポスターセッションで静岡県立静岡がんセンターの山本信之氏(写真)が発表した。台湾で行われたフェーズ2試験で、有望な結果が得られたことから、BIBW2992のフェーズ3が開始される計画で、日本も参加する予定だという。

 フェーズ1臨床試験は、標準的な化学療法やゲフィチニブ、エルロチニブによる治療が効果がなかったかまたは適切な治療法がない3B期、4期のNSCLC患者を対象に、1日1回BIBW2992を、28日を1コースとして投与した。投与量を20mgから50mg(非日本人のフェーズ2推奨用量)まで増量した。また可能な患者ではEGFRの変異を解析した。

 フェーズ1には20mg群に3人、40mg群に3人登録された。グレード3の副作用はなく、用量制限毒性は現れなかった。50mgで1コース目に1人の用量制限毒性が見られたため、6人を登録した。50mgで見られた用量制限毒性はグレード3の粘膜炎で患者は減量することになった。50mgでグレード3が3件(下痢、粘膜炎、腸炎)見られた。副作用はほとんどがグレード1か2のもので下痢、乾皮症、口内炎、皮疹、爪周囲炎、食欲不振だった。日本人のフェーズ2推奨用量は50mgとなった。

 フェーズ1に参加した12人中6人で腫瘍の大きさの縮小が見られた。持続性の安定状態(SD)が3人の患者で認められ、そのうち1人はEGFR/HER1のエクソン19の欠失とT790M変異があった。また、腫瘍が縮小した患者にはゲフィチニブとエルロチニブが効かなくなった患者も含まれていた。