イタリア Istituto Clinico Humanitas IRCCSのFederico Cappuzzo氏

 上皮成長因子受容体EGFR)阻害剤エルロチニブによる化学療法後の維持治療は、進行性非小細胞肺癌無増悪生存期間(PFS)だけでなく、生存期間も有意に延長させることが、国際的なフェーズ3試験「SATURN」で明らかになった。さらにバイオマーカーによる解析では、多くの患者に有用である可能性も示唆された。イタリア Istituto Clinico Humanitas IRCCSのFederico Cappuzzo氏(写真)らが、7月31日から8月4日までサンフランシスコで開催されている第13回世界肺癌学会で発表した。

 SATURN試験では、白金系製剤をベースとした標準的な一次治療を4サイクル行った後に、進行が見られない患者889人を対象に、維持治療としてエルロチニブもしくはプラセボを投与した。

 対象患者のうち、男性がエルロチニブ群では73%、プラセボ群では75%、腺癌(腺癌の亜型である細気管支肺胞上皮癌を含む)はそれぞれ47%、44%、扁平上皮癌は38%、43%で、白人の割合はそれぞれ84%、83%と大半を占め、アジア人は14%、15%だった。喫煙状況は、過去1年以内に喫煙していた人が、それぞれ55%、56%、喫煙経験者は28%、27%で、非喫煙者は18%、17%だった。

 主要評価項目は全患者およびEGFR陽性患者における無増悪生存期間(PFS)で、全患者におけるPFSはエルロチニブにより有意に延長し(ハザード比0.71、p<0.0001)、EGFR陽性患者のPFSもエルロチニブ投与によって有意に延長した(ハザード比0.69、p<0.0001)。

 サブ解析では、男性におけるエルロチニブ投与のハザード比は0.78、女性は0.56、白人では0.75、アジア人では0.58、また腺癌のハザード比は0.60、扁平上皮癌では0.76、非喫煙者では0.56、喫煙経験者は0.66、喫煙者は0.80と、性別や人種、組織型、喫煙状況に関係なくPFSに対するエルロチニブの有効性が認められた。

 病勢コントロール率(完全奏効、部分奏効、12週間以上の病勢安定)はエルロチニブ群では40.8%、プラセボ群では27.4%であった(p<0.0001)。

 今回の報告では新たに全生存(OS)の結果が発表され、全患者における生存期間中央値はエルロチニブ群が12カ月、プラセボ群が11カ月で、ハザード比は0.81(95%信頼区間0.70-0.95、p=0.0088)と、エルロチニブによるOSの改善が示された。またエルロチニブ投与によるQOL低下も認められなかったという。

 さらに学会では別のセッションで、バイオマーカーによる解析結果も発表された。全患者のうち免疫組織化学法(IHC)によるEGFR陽性は84%、FISH法によるEGFR陽性は48%、EGFR変異陽性は11%、KRAS変異陽性は18%だった。

 解析の結果、PFSに関してEGFR(IHC)およびEGFR(FISH)、KRAS変異のステータスに関わらず、エルロチニブの有効性は確認された。特にEGFR変異では陽性患者において顕著な有効性が示され、EGFR野生型のハザード比が0.78(p=0.0185)だったのに対し、変異陽性患者では0.10(p<0.0001)だった。

 これらの結果から、発表したドイツSchwarzwald-Baar ClinicのWolfram Brugger氏は、「エルロチニブの維持療法から患者を除外するようなバイオマーカーはなかった」と述べ、幅広い患者で使用できる可能性を示唆した。